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まちづくりチョビット推進室
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まちづくりチョビット推進室

京都府地域力再生活動
京都三条ラジオ・カフェ(79.7MHz) にて、
『まちづくりチョビット推進室』という番組を下記の予定で放送中です。
放送日時は第3、第4土曜日(15:30~16:00)
(詳細はラジオカフェのページでご確認下さい)
『まちづくりチョビット推進室』は、
「京都市景観・まちづくりセンター」と、平成25年、26年度の間、共同企画で行っておりました。
   
  過去のアーカイブはこちらをご覧下さい。
 

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第133回 ・しなやかな社会とレジリエンス ~ちょっとレジってみませんか?

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成30年1月放送分>

藤: 藤田 裕之氏(レジリエント・シティ 京都市統括監(CRO))
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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藤田氏 
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様あけましておめでとうございます。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た京都の元気なまちづくりびとの紹介や、その最新のエピソードをお届けしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、記念すべきお正月特番といたしまして、本日は素晴らしいゲストをお招きしております。本日お越しは、レジリエント・シティ京都市統括監(愛称CRO)をお務めになっています藤田裕之さんです。
藤: 今日はよろしくお願いいたします。皆さま、改めて新年あけましておめでとうございます。
絹: 皆さんご存知のように、藤田さんは京都市の前の副市長をお務めになった方であります。副市長をご退任後、京都市のCRO、京都市の統括監という職におつきになりました。今日は藤田CROをお迎えして、テーマとして「しなやかな社会とレジリエンス~ちょっとレジってみませんか?」と題してお送りいたします。それでは藤田CRO、よろしくお願いいたします。
藤: よろしくお願いいたします。
絹: ではエピソード1、「レジリエンスとは何か、その意味と語感から」と題してお送りいたします。
 
■エピソード1 レジリエンスとは何か、その意味と語感から

●レジリエンスってなに?
藤: このレジリエンス、おそらくお聞きになっている皆様も「初めて聞いた言葉だな、いったいどこの言葉だろう」思っておられる方もあると思いますが、元々英語でレジリエンスと言う言葉があるのですが、私も正直言いまして知りませんでした。この仕事をする前はほとんど関わりのない言葉だったのですが、一言で表すと「しなやかな強さ」とか「回復力」とか「復元力」とか、「粘り強さ」という意味の言葉のようです。
絹: リスナーの皆さんの中に、理系あるいは工学系の勉強をされた方はご存知かもしれません。物理の中にレジリエンスという物質のしなやかさを表す言葉があって…。
藤: そうですね。弾力性と言うか、押し込まれた時にどのくらい跳ね返るかというような意味で使う場合があるようですね。
絹: 私がこの言葉を初めて知ったのは、ごく最近なんです。京都大学の大学院の藤井聡先生の著書で読んで、「なんやろ、これは」と思った記憶があります。
藤: 藤井先生がおっしゃっているレジリエンスというのは、実は物体だけではなく、もう少し広い意味があるんです。人々の暮らしの事や、自然環境の事、あるいは人の心や組織の強さなどもレジリエンスという言い方で表せまして、今、物質的な部分をおっしゃいましたが、たまたま私の大学での友人で心理学を専攻している人間も、私が4月にレジリエント統括監に着任することを言いましたら、「藤田くん、今度、心理学の勉強をするの?」と聞かれましてね。
絹: 心理学の分野の言葉でもあるんですか。
藤: そうなんです。打たれ強さとか、嫌な事があって、けいこ事や習い事をやめてしまおうかとなった時に、「やっぱりもう少し努力して頑張ってみようかな」とか…。
絹: 持続性とか、心の折れにくさとかですね。
藤: 折れない心とか、子どもがいじめにあって、ポキッと折れてしまいそうな時に、周りから励まされて、もう一度頑張ってみようとか、あるいはショックな体験にトラウマにならないといったこともレジリエンスと言われているようなので、とても広い意味がありますね。
絹: そういえば藤井聡先生も交通工学の御専門ですけれども、その研究室や研究分野は経済学から、確か心理学の著書もありますものね。

●社会の在り方とレジリエンス
藤: ですからそういう社会全体の在り方というのを、レジリエンスという言葉で総称して、災害にも強いし、色んな事象が起こった時に、崩壊してしまわずに、持続可能でかつ元以上に戻っていけるという意味で使われるようになっているようですね。
絹: 皆さん、聞きなれない言葉ではありますけれども、しなやかさ、強靭さ、回復力を持つレジリエンス、短く「レジってみませんか」とふざけてみましたけど、覚えていただきたい言葉ではあるんです。なぜ今日、藤田CROにお越しいただいたかと言うと、我々が住んでいるこの京都市、その京都市のしなやかさについて、何か一緒に考えない?とおっしゃっているのが、藤田CROのお役どころと言いますか…。
藤: そういうことになるかと思います。今のこのレジリエンスという言葉で、社会問題に関心のある方は「持続可能性」という言葉を、もしかしたら思い浮かべられるかもしれません。よく似ている言葉なのですが、ちょっと違う所がもしあるとすれば、持続可能性がどちらかと言えば現状維持のようなイメージがあるのに対して、レジリエンスは、今の社会が何が起こるかわからない。色んな苦しい事、嫌な事を体験するけれども、そこで少し落ち込んでも、そのあと頑張って盛り返して、立ち直った時には前よりも良くなっているという、しなやかに波打つように、より上に昇っていくという意味合いがあるので、より現代社会にマッチした言葉ではないかと思うんです。

●現状維持ではなく、ゆるやかに上っていく
絹: リスナーの皆さん、今これラジオですので、藤田さんがどんな手で線を描かれたかというのは、見えないですけどイメージしてください。波線、サイン・コサインカーブとか、色々波があります。山があって谷があって、何か大変な事があったら、ドカーンと谷が深くなって、また上がって、でも元へ戻るんじゃないよと。山谷あるけれども、なんとなく緩やかに上方へ、より良くなっていきたいよねという語感を、このレジリエンスは持っているよって、手で示してくださいました。
藤: 人生浮き沈み、でも頑張っていれば報われて、より良い方向に上っていくという、ある意味では楽観的な、しかし何が起こるかわからないという場合には非常に悲観的に。だけれども頑張ったら報われるという意味では楽観的に考えていく。こういう発想だと思いますね。
絹: 私は昭和の人間なので、水前寺清子さんの「三歩進んで二歩下がる」ですね。あれが今、思い出されてしまいました(笑)。
藤: まさにそういう感じだと思います。わかりやすく解説していただいて、有難いです。
絹: レジリエントとは何かという言葉から、その意味するところは実は現状維持ではなく、例えば災害とか、パンデミックだとか、色々困りごとがあった時に、復旧ということだけではない語感に気をつけてねということをおっしゃった。

●9.11テロとレジリエンス
藤: 復旧という言葉にあえて対比する言葉を使うとすれば、復興という言葉になると思います。復旧が元に戻すという言葉であれば、それをさらに発展させていく、活性化させていくというのが、レジリエンスに近いのかなと思います。
私は去年、2017年の7月にニューヨークで、私が今仕事をしているレジリエント・シティ統括監の世界サミットがありまして、例の9.11同時テロがありましたワールドトレードセンタービルに行ってきたのですが、日本で言えば広島の原爆記念館のような記念館が跡地にできているんです。
絹: 世間で言われるグラウンドゼロですね。本当に偶然なんですが、藤田CROに遅れることひと月、海外が苦手な私が珍しく、そのグラウンドゼロと言われるワールドトレードセンターの跡地におじゃまする機会を得ました。そこでは亡くなった方々の墓碑銘と言いますか、亡くなった方々の名前が刻まれていまして、ボランティアの方々がおられまして、その方のお誕生日の時にはその方のお名前の所に一輪の花を挿すという活動がずっと続いているという解説がありました。また、実際にそういう花を見ました。それからあの悲惨なワールドトレードセンターの記録が克明に保存されているミュージアムがありました。
藤: あの中で、土産物と言いますか記念品が色々売られているんですが、その記念品の中にレジリエンスという言葉が刻印されているものがありました。
絹: ということは、米国でもレジリエンスという言葉はワールドトレードセンターが倒壊した9.11、2001年以降に、広く使われ始めた言葉なのでしょうか。
藤: おそらくあの時に、アメリカの繁栄の象徴ともいうべきワールドトレードセンタービルが、ハイジャックされた飛行機で崩壊して、その後、ここからどう立ち直ろうかという時の、一種の合言葉になっていたのではないでしょうか。これは推測ですけれども。
絹: そのミュージアムには、本当に数多くの方々が訪れられていまして、もちろん私のように日本から行っている者は数少ないですけれども、お子さんもお父さんもお母さんも、映像展示だとか、ガレキだとか、亡くなった消防士さんの消防服のきれっぱしだとか、折れ曲がった鉄骨だとか…。
藤: ハイジャックされた乗客の家族へのメッセージなどもずっと流れていますし。
絹: 音声展示と言いますか。で、みんな泣いておられる。そして必ずティッシュボックスがそばに置いてある。強い国民性だなあと感じました。向き合って、それこそ「立ち上がるんだ!」みたいな感じの、そういう施設でした。

●日本でも東日本大震災をきっかけに使われ始めました
藤: それがアメリカで使われ始めた最初だとすれば、日本で主に使われるようになったのが、2011年の東日本大震災。あの時におそらく海外から支援に来られた方が使われた言葉でもあるのではないかと思います。レジリエンスという言葉が災害への備え、強いまちづくりという意味で使われるようになりました。
絹: そしてそれが先ほど教えていただきました復旧から復興へという言葉と相前後して使われ始めたということですね。
さて、われら京都市民がこれからどういうふうにしなやかに強靭に、あるいはレジリエントになっていけばいいのかなということを、一緒に考えようよというのが、たぶん藤田CROの思っていらっしゃることですね。
 
■エピソード2 レジリエント・シティ京都を指向する

●京都市は世界で100のレジリエント・シティに選定されました
藤: はい、おっしゃる通りで、今2011年の東日本大震災でレジリエントという言葉が使われだしたと申し上げましたが、その後、国においても2013年に国土強靭化計画、ナショナルレジリエンスプランがつくられていまして、同じくしてアメリカのロックフェラー財団が世界各都市に、そうした持続可能で50年後も100年後も人々が豊かに安全に過ごせるまちをつくる、そういうネットワークをつくろうということで呼びかけたのが、実はこのレジリエント・シティという言葉に繋がっていくわけです。
絹: 事前にいただいた勉強のための資料に、世界で約1,100の都市が応募をしたとあります。倍率10倍以上ですけれども、世界中から100のレジリエント・シティを選び出す。その中で日本では富山市と京都市の2都市だけが選ばれたと。そしてそこにチーフレジリエンスオフィサー、これの略称がCROであり、統括監である藤田さんであると。
藤: なかなか覚えにくいので、私はしゃれを含めて、CROを「ちょっとルンルンおじさん」と言っているんです(笑)。

●京都市民としてはどう考えたらいいの?
絹: 我々京都市民は、これからどうあればいいのだろうと、その辺に逆照射していきたいわけですが、どうでしょう。持続可能性だとか、漢字で言うとわかったような、実はわからんような、いつも何とか自分はそういう言葉に出会った時は、平仮名に置き換えたり、具体的なエピソードに分解して探そうと試みるのですが、例えばどんなことが挙げられますか?
藤: レジリエント・シティというのは、一言で言えば、そういうレジリエンス、打たれ強さ、頑張ろうという前向きな意欲を持った人々が活動し、活き活きと生活し、そしてまた生まれ育ってくるまちだと思うんです。
同時にそのことには2つの要素があって、まちがそういう制度や仕組み、人々が助け合い、支え合うような仕組みがきちんとできているかどうか、それが行政のレベルだけではなく、地域の団体や企業や、様々な所で点検をしていく。それがレジリエント・シティの1つの大きな意味合いになると思います。
もう1つの要素は、これは未来に向かった話になるのですが、そうしたレジリエンスを備えた人間がどうすれば育つのか、どのような環境があれば、レジリエンスのある人々が生まれてきて育っていくのかという私たちの社会の在り方とでも言うのでしょうか?人間一人が一人だけで生きているのではなく、しかも「お金さえ出せば、豊かで便利で何でも手に入る、自然を支配している」というような錯覚をしているところでは、おそらくレジリエント・シティやレジリエンスな人は育ってこないのではないか?あえて私の意見として思います。

●レジリエンスが減ってきている現代社会
絹: 今のお言葉を自分なりに翻訳しようと試みますと、地域の持っていた力、あるいは市民、市井の一般の人たちがかつて持っていた助け合う力、お葬式を一緒に出したとか、あるいは入会地の山でしたら下草を刈ったり、稲刈りの時のお手伝いだとか、もっと卑近な例では、実家からみかんが送ってきたからおすそ分けとか、そういう当たり前の助け合いの緩やかな繋がりが、どうもやせ細ってきて、それがレジリエントという言葉で言うと、レジリエンスが減ってきているのではないかと。
藤: おっしゃる通りだと思います。支え合ったり、助け合っていかなくては、人間というのは、本当に弱い存在だと思うんですね。ところが経済的な豊かさや便利さのなかで、ややもすると私たちは自分一人で身勝手に生きているような、錯覚をしてしまう落とし穴が、周りのあらゆるところにある。自分さえ良ければとか、今さえ良ければという落とし穴に入らないような誠実で慎ましやかな生活をしていくというのも、レジリエンスの非常に大事な要素になると思います。
絹: そのお話を聞いていますと、レジリエント・シティとか、レジリエンスと言うと、何か外国からやってきた輸入ものかと一瞬誤解するんですけど、何かどこかで聞いたような懐かしさを感じますよね。

●かつての町衆が残してくれた財産を思い起こすということ
藤: まさにそうなんです。京都市がこのレジリエント・シティに選定されたというのも、かつての京都の暮らしを守ってきた町衆をはじめとする先人が、私たちに残してくれている財産を、もう一度思い起こして、きちんと次の世代へ伝えてくださいというメッセージに聞こえてきますね。
絹: 先ほど収録前の打ち合わせでお話していたのですが、京都市さんというのは他都市に先駆けて、市民参加推進(ちょっと行政っぽくて堅苦しい言葉ですけど)に取り組んでこられた都市だという実感があるんですね。
おまかせ民主主義(これも嫌な言葉ですけど)と言うのでしょうか、例えば「うちの前に銀杏の街路樹の落ち葉や銀杏が落ちていて臭い」と。「私は税金を払っているので、清掃局掃除をしに来い」というステレオタイプな市民がいたとします。全く逆に「いつも毎朝かど掃きしてるし、やっといたで」という市民もいる。
もう一つ面白いのは、「みっけ隊」という、京都市の建設局と高度技術研究所が開発されたスマートフォンアプリケーションです。防護柵、ガードレール、街路灯が切れているよと、スマートフォンでGPS情報と共に、土木事務所に知らせてきてくださる。「まあ、行政も大変やな。予算も限られているし、市民でできることはやっとくわ」と。「多くは言わない。頑張れよ」というちょっとカッコいいオッサンもたまにはいる。

●ピンチはチャンス!
藤: まさにその通りで、一言で言うと「自分ごと」と言うのでしょうか。当事者意識を持った市民というのは、やはり京都は大都市の中でも非常にたくさんおられる地域だと思いますので、このレジリエントという言葉を1つの合言葉にして、もう一度そういう歴史・伝統を京都から世界に発信できないかと思います。
特に、これから人口がどんどん減っていきます。人口が減るというのは、若者・子どもの数が減っていくんですね。その時に、今までやっていた通りの事をやっていたのでは、若者の数、子どもの数、就労人口が減っていく時に、立ちいかなくなるのは必定なので、今までとは違うやり方を導入していく必要がある。
同時に人口が減っていくのでお先真っ暗だという悲観主義ではなく、ピンチはチャンスということで、こういう時こそ若い人が育つチャンスになるんだとか、あるいは人口が減っても人々が豊かに幸福感を持って過ごせるにはどうしたらいいのかという工夫をしていく。これもレジリエンスという言葉の中に粘り強さということで、入って来るのではないかと思います。

●レジリエンスの活動としての「山科子ども食堂ネットワーク」
絹: 今のお話に触発されまして、1つの実例をご紹介させてください。チョビット推進室のかつてのゲストである、山科の青少年活動センターの大場さんが提唱しておられる「山科子ども食堂ネットワーク(まちのちゃぶ台ネットワーク)」というのがございます。実はもうだいぶ実現していまして、私どもの山科の独身寮の食堂を使いませんかとか、家庭菜園で余った食材を使ってよとか、フードバンクやセカンドハーベストの方々と利活用でということで、10万人規模の山科区で地道に進めていらっしゃいます。これはひょっとしたら、レジリエンスを高める活動ではないですか。
藤: だと思います。今、絹川さんがおっしゃった事例は、レジリエンスのもう一つの要素にもなるのですが、様々な施策を融合していくということですね。社員寮が企業の財産としてあります。その事が地域でどうか、子育てでどうか、一見バラバラになりそうなところを、くっつけてやっていただいている。それが今までにない新しい仕組みをつくっていくという意味でも、レジリエンスの構築に非常に大きな役割を果たすと思います。
絹: シェアの考え方と似ているのかもしれませんね。
藤: 似てますねえ。

●レジリエント・シティ京都市民フォーラム、開催します!
絹: CROにレジリエンスとは何か、読み解いていただきました。どうやら何か懐かしいところに、我々京都、あるいは日本が得意としていたかつての「らしさ」に戻る事かもしれません。
さあ、今CROのお話にご興味を持たれた方に、是非ご参加いただきたいイベントと言いますか、フォーラムがございます。そちらのご紹介をお願い致します。
藤: 実は1月20日、土曜日の午後1時30分から4時30分、「レジリエント・シティ京都市民フォーラム」という、市民の皆様どなたにも参加いただける催しを行います。
京都市立芸術大学学長の鷲田清一先生に基調講演をしていただきまして、その後のパネルディスカッションでは、堀場厚会長や池坊専好さんはじめ、錚々たるパネリストの方、そして私がコーディネターをさせていただきます。
「しなやかな未来社会を創る人づくり」というサブテーマ、そして「課題挑戦都市・京都、私たちが今できること」というテーマで開催させていただきます。申し込みについては京都市の防災危機管理室というところで窓口をしますので、075-212-6792にお電話をいただきましたら結構でございます。
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絹: 実は私、鷲田清一先生が大好きで、大阪大学の学長をされて、今は芸大の学長に来ていただいている。『しんがりの思想』という近著も大好きです。
藤: 私も読ませていただきました。
絹: 申し込みですが、防災危機管理室075-212-6792へお問い合わせください。レジリエント・シティ京都のフェイスブックページもあります。
藤: 是非それも色んな発信をしていますので、ご覧いただけたらと思います。
絹: 非常にこれはお値打ちな、「しなやかな未来社会を創る人づくり」という副題での市民フォーラムです。よろしければ是非ご参加ください。
藤: お待ちしております。
絹: 藤田CROにお越しいただきまして、レジリエント・シティとは何かということを、短い時間ではありましたが、お話を聞かせていただきました。是非皆さまには「自分ごと」の問題として、考えてみていただきたいと思います。市民として、行政だとか、お上だとか、色んな人に頼りきることを続けていける右肩上がりの社会は既に終わろうとしています。戦力たる若い人の人口は総体的にどんどん減っています。そのために何ができるんだろうということも少し考えるヒントにしていただけたらと思っております。
今日は本当に藤田さん、ありがとうございました。
藤: ありがとうございました。レジリエンスという言葉はややこしいので、最初に言っていただいたように「レジる」とか「レジってみる」とかいう言葉も、若い人々の間で流行ったらいいなと思っています。
絹: ありがとうございました。本日は京都市レジデント・シティ統括監の藤田裕之さんにお越しいただきました。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。藤田さん、ありがとうございました。
藤: ありがとうございました。

 

投稿日:2017/12/27

第132回 ・アクティオさんは国際救助隊たり得るか

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成29年12月放送分>

中: 中湖 秀典氏(株式会社アクティオ 専務執行役員 レンサルティング本部長)
村: 村松 健一氏(高石機械産業株式会社 代表取締役 執行役員社長)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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前列中央 中湖氏  前列右 村松氏

 

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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た京都の元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最前線をご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、お二方をお迎えしております。
まずはメインゲスト、ちょっと皆さんびっくりされますよ。東京から来ていただいたのは初めてです。株式会社アクティオ 専務執行役員 レンサルティング本部長の中湖秀典さんでいらっしゃいます。中湖さん、よろしくお願いいたします。
中: よろしくお願いします。
絹: そしてもう一方、これはわが社に協力していただいている会社の一社であります高石機械産業株式会社 代表取締役 執行役員社長 村松健一さんでいらっしゃいます。
村: どうぞよろしくお願い致します。
絹: 今日はお二方を迎えて、「アクティオさんはサンダーバードたり得るか」と題してお送りしたいと思います。
サンダーバードと聞いて、国際救助隊をイメージしてくださる方は多いでしょうか。私の世代は、子どもの時にパペットドラマの国際救助隊サンダーバード1号、2号、3号、4号、あれは5号までありましたか。あれをワクワクドキドキしながら見ておりましたが、リスナーの皆さん、テレビコマーシャルで建設機械が赤い大きなマシンが列をなして、現場に向かうというシーンをひょっとしたら覚えていらっしゃる方がおられるかもしれません。アクティオさんはその会社なんです。全国にたくさん拠点をお持ちになっていまして、建設現場や林業現場に建設機械を送り込んでおられる会社です。そしてそのグループ会社として、京都の高石機械産業さんがあって、村松さんはそこの社長さんです。
ということで、いつものように司会者は手を抜きまして、ゲストの他己紹介というシーンに入っていきます。では、村松さん、メインゲストの中湖専務、どんな人ですか?短く述べよ(笑)。
村: これはラジオの番組ですから残念なんですけど、イメージしていただきたいのはダンプカー、ですけど中身はしっかりとコンピューターを積んでいるという、社内での評判です。
絹: ブレーキの壊れたダンプカーじゃなくて、コンピューター制御のダンプカーということですね。10tくらいですか(笑)。
村: もうちょっと大きいかもしれません。重ダンプのような形かもしれません(笑)。よろしくお願い致します(笑)。
絹: タイヤの大きなダンプでいらっしゃるそうです。では中野専務、村松さんて、どんな方ですか?
中: 見た目と同じで、非常に柔和で何事も懐に入れこんでしまう、部下にもお客様にも大変温厚な人間でございます。
絹: ひょっとしたら村松さん、カンガルーのような有袋類なんですかね(笑)。いきなり手を抜きまして、失礼を致しました。

■第一章 荒れている山を救う
●林業の抱える問題
絹: では、エピソード1に入ります。先日中湖専務は、四国の山の中、徳島へ訪れられたと聞きます。林業の抱える問題は、わが建設業界、あるいは日本の抱える問題を映し出す一つの切り口ではないかと感じましたので、四国で中湖さんが見聞きされた事、それから色々新しい実験をしに行かれたと承っておりますので、その辺から口火を切っていただけますでしょうか。
中: 徳島ではちょうど林業展が開催されておりました。年に一回色んな所で開催されているわけですけれど、今回も皇太子殿下に来ていただいて、植樹祭も催され、大変盛り上がった会でございます。
林業の抱える問題点というのは、日本の抱える問題点の縮図でもあると思いますが、やはりベテランがいない、若い人たちが入ってこない、このまま山を放置していると、山がダメになってしまう、そういう危機感を皆さんがもたれている中での林業展であり、我々もそれを機械、あるいはレンタルという切り口で、少しでも現場にお役立ちし、林業自体を発展、あるいはサポートさせて頂ければということで、徳島の山まで行ってまいりました。
絹: 今、中湖さんがおっしゃった「山がダメになってしまうかもしれない危機感」という言葉に反応してしまうんですけど、この番組のハードリスナーの方なら、ひょっとしたら覚えて下さっているかもしれません。
私が何年か前に災害現場の視察をした時の事をお話したことがありました。京都府の北の方で、まちの集会所の土手っぱらに、杉の木が突き刺さっている現場(宮津市だったと思いますけれども)や、土石流で、かわいそうに新築のピカピカのお家の一階が泥だらけで、2階は無事でとか…。そういう所の後始末に我々の業界に近い人たちが出動しています。
で、やっぱり四国でも山が荒れていくという危機感は、地元の方々はお持ちになっていたんですかね。

●ドローンなら、ここまでできます!
中: はい、やはり手は入れたい。ところがなかなか実際に動けるベテランの方がいない、やる方たちがいない、あるいは過去は木の単価が安いというところで、やっても採算が合わないという面がありました。そういうところを機械化する、あるいはドローン、あるいは航空測量等々によって、デジタルでデータを取って、それを効率的に使うという、そんな取組を今させていただいております。
絹: それが試験林で今回なさって来たことなんですね。リスナーの皆さんに少し平仮名で解説を試みようと思いますが、ドローンという言葉はこの頃一般的ですか?一般的ですよね。村松さん、どうですか?
村: そうですね。子どものおもちゃというところから、今では宅配業界や色んな分野に、ドローンというのは広がっていくものだと思っていますが…。
絹: そうですね。われらが京都御所、京都御苑でも、「ドローン飛行禁止」というポスターが貼ってあったりします。空撮映像というのは、本当にすごい視野の広がりを持ったもので、ただ画像を取るだけではなくて、分析もそこに加わって来るんですよね。
中:  今では写真からの測量というのもできますし、3Dスキャナをつけることによって、地表面までどういう位置にあるかも見られるような状態になってきています。
絹: この四国の試験林で飛ばされたドローンって、大きなものですか?サイズはどのくらいなのでしょう。
中: サイズとしては直径で1mちょっとくらいの機体です。当然そういう機械ですから、バッテリーで動いておりまして、その下にスキャナをつけて、100ヘクタールくらいの山ですと、ほぼ一日でデータが取れてしまうというような感じです。
絹: 今、中湖専務はさらっとおっしゃいましたが、「100ヘクタールくらいの山なら、一日でスキャンできるよ」と。これ、「ええ加減にしてください」というくらい、すごい事じゃないですか。
中: そうですね。そのくらい技術が進んだと言いますか。
絹: 昔ならば、山の中に徒歩で入っていくわけです。林道がちゃんとある所ならいいですけど、急斜面だと這いつくばって登っていかなければならない。植林されているのを見たことがありますが、「こんなところで足を滑らせたら、ごろんごろんと下まで転がるゾ」というような斜面に入って行かれて、だからこそ林業家というマスターは、ケガが多いという厳しい仕事だと。現場へ行くのに、すごい時間がかかって、ちょっと仕事をしたら、もう日が暮れて帰って来なあかんと。それを100ヘクタール1日ですか。
中: そうですね。私の友達も測量会社に過去勤めた人間がいまして、クマに襲われたとかいう話をよくお聞きしますけど、今のドローン、あるいは航空測量の技術をもってすると、そういう部分はかなり安全に正確にできる、そういう技術がもう既に確立されているというところでございます。
絹: 大事な技術なんですね。空撮・ドローンのスキャナの技術、そして一般の方々にはまだ馴染みが少ないかもしれませんが、おもちゃとして売られているドローンだけではなくて、本当に災害の時に、あるいは人が行きにくい場所、僕らの仕事でインフラ整備に関する所でしたら、橋梁、高速道路の基礎の柱だとか、橋脚だとかといった所に、マルチヘリコプターのドローンのようなものを飛ばして、チェックをするという技術も確立されつつあると言います。その技術で、100ヘクタールの山の木の幹の太さ、それから地形、のり面の傾きまでチェックできますよと教えていただきました。

■第二章 林業の新時代を切り開くために
●外材の値上がりと、切り時の日本の木と
中: そうですね。過去はベテランの木こりさんと言いますか、マタギさんと言いますか、そういう方たちがおられて、目で見て色んなものを判断されていた。そういうベテランの方々がたくさんおられたので、日本の山は守られていた。それが残念ながらそういう人たちが年々再々減っていくなかで、CO2の削減という京都議定書があったわけですが、それに沿ってやろうとすると、間伐をちゃんとやらなければいけない。あるいは日本の山はほとんどは戦後に植林された木なので、ほとんど50年経っていて、ちょうど今が切り時ということもあるそうです。
絹: 山が荒れてしまったことについて、林業の先生に「なんでですかね」と聞いたら、安い外材が入ってきて、山から木を伐りだしても合わないという時代が長く続いて、放置される山が増えて、その結果間伐がされなかった。間伐がなされないということは、ひょろひょろと薄暗い林になってしまって、土石流が起こって、表層土と共に木がスポーンと下へ流れてきてみたいなことが起こるようになったわけです。ところが先ほど中湖専務から「外材がこの頃値上がりしてきた」とお聞きしましたが。
中: 値上がりした理由は、日本が安い外材をたくさん輸入し続けてきたので、出す材料がなくなってきたというのが、実態だそうです。
絹: ということは、かつて林業家が撤退されたと言いますか、山を手入れをして、丹精を込めてというのが引き合わなかった時代が長く続きましたけれども、これからは50年経って、切りごろではあるし、ひき合う時代が来るかもしれない。そういう見方は正しいですか。
中: はい。それとまさに外材の使う目的として、製材ももちろんなのですが、製紙のパルプも同じようになくなっている。あるいは最近ではCO2の削減ということで、バイオマス発電というのが、盛んに取り入れられるようになってきていますけれども、それの材料としての木材のチップの使われる量が多くなっています。それも併せて製材の値段を押し上げてきているようです。

●国が推奨するCLT工法
絹: それと先ほどもう一つ教えていただきました。国交省の推進していることの一つに、CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)があります。大断面の集成材や木目を直行して貼り合わせた太い構造材で、木造のビルを建ててしまおうという計画が進んでいるということですが、結構できてきているんでしょうか。
中:  官公庁の建物にまずは採用されています。今は5階建てまでの許可ですが、これからは7階までいいよということで、木材を使う仕事を増やそうという動きも一緒にあるようです。

●レンサルティングって、なに?
絹: さて、そういう流れができてきそうだと。そうそう、もう一つ質問しようと思っていたんです。ゲストの中湖専務の御役職名をレンサルティング本部長とご紹介しましたけれども、これ何やら新しい造語のような気がしますが、アクティオさんは赤い建機をレンタルというか、各地に送り込まれるとともに、「レンサル」と言うんですか、コンサルティングもなさるんですね。
中: 「レンタル」と「コンサルティング」まさに「相談していただけるレンタル」という意味で、うちの小沼会長が考えた造語でございます。全く英語でもなんでもございません(笑)。
絹: 最初にちょっとふざけましてね、「アクティオさんはサンダーバード(国際救助隊)たり得るか」というタイトルをつけましたが、「山が病んでいる」と言った学者もいるように、疲弊した山の現場で、アクティオさん他、色んな専門家から、色んな知恵を借りて、山を再生して元気にするにはどうしたらいいんだろうという、そういうことのご相談にのっていらっしゃるんですね。
中: そうでございます。森林組合さんもやはりベテランの方がおられなくなって、なかなか施業したくてもできない。そんななか機械化を進めなければいけないというところで、色々な機械を森林組合さんで買おうとするのですが、林業の機械は数がそんなに出るものではないですから、非常に高い。高いので買えないから仕事ができないとなると本末転倒になりますので、必要な機械を必要な時に我々がご提供することで、少しでもお役に立ちたいと考えております。また、機械だけではなく、そのなかで安全をどう確保するかといった事も、お話をお聞きしながら、機械に色んな付加をつけながら、やらせていただいております。

●林業機械のいろいろ…
絹: リスナーの皆さん、この分野は非常にマニアックな分野かもしれませんが、この頃はインターネットを皆さんよくお使いになりますので、例えば林業機械の「グラップル」とか「フォワーダ」といった言葉を検索していただきましたら、海外の山の中でそういう機器たちが動いている様子がご覧になれます。例えば北欧ではどういう形で動いているとか、あるいは日本で動いているというのを、イメージしていただきやすいんじゃないかと思います。
中: 今ですと、バルト三国の北の、特にフィンランドがやはり林業が非常に盛んで、林業機械はフィンランド製の物が非常に多いんですが、当然国産もたくさんあります。
絹: ということは、フィンランドの機械をアクティオさんは輸入されたりして、お持ちになっているのもあるんですか。
中: はい、輸入させていただいております。
絹: 国産のもたくさんあるんですか。
中: 国産のもございます。

●子どもたちに親しみを持ってもらうために
絹: さっきも番組前の軽い打ち合わせで、小さい子どもたちはそういう建設機械だとか、林業機械なんか、たまらん好きなんですよねえという話をしていたんですが、子どもたちがそういう機械がブンブン動いているのを見せてやりたいですよね。
中: そうですねえ。
絹: 我々の業界もそうですけれども、小学生やそのお母さまお父さまを対象に、この間は舗装のイベントをやりましてね。目の前でフィニッシャーが50mほどの仮設の舗装を、見る見る間に仕上げていく姿を見ていただいたり、あるいは自転車マークだとか、横断歩道の白いペイントを職人さんが職人技で見事に描き上げるところを、子どもたちに見ていただいたり、あるいはミニユンボに乗っていただいて、もちろんオペさんの指導のもとですが、小さいバケットにサッカーボールを入れまして、右から左へ移してというイベントをやったんですが、アクティオさんも、高石さんも、そんなイベントに参画されたりしているようですね。
中: はい。我々がお客様のイベントに参加して、今まさに絹川さんが言われた形のものを提供しております。そういうイベントで一番人気があるのは、高所作業車でして、20m~30メートルの高所作業車がありますので、それに乗っていただいて、高い所からものを見ていただく、そういうのもお手伝いさせていただいております。

●レンサルティング、5年後10年後の未来
絹: 先ほど「サンダーバードたり得るか」というお話を少しさせていただきましたけれども、僕はアクティオさんがなさっている事は十分、(サンダーバードに)手が届きそうなところに来るのではないかという期待を勝手に素人ながら持っています。アクティオさんがレンサルティングをされる、次の5年、10年先に、山や建設現場や防災現場、インフラに携わる人たちと機械は、どういう風に変化していくのか、お感じになっているところがあれば、少し教えていただきたいのですが。
中: 先ほどお話のあったドローンで撮影をしたり、あるいは3Dスキャナを使って、今まで見えなかったものを、見える化する、それをデータ化することで、効率よく仕事ができる。あるいは安全に仕事ができるといったところに繋がっていくと思います。
絹: 山の木は、森の木は、いっぱいわさわさと緑の葉っぱが生えていると。幹がひょろひょろなのか、立派な50年ものなのか、一見するとわからないけれども、上空からスキャンする光はそれすら見通すぜ、ということなんですね。
中: そうなんです。
絹: そして、そうやって効率化して、見えないものを見える化していく。危険だとか、キツイと、かつて山を敬遠されていた人たちが、安全に効率的にデータを活用して働ける。必要な所に必要な時期に、サンダーバード2号みたいなもので(笑)、「グラップラー」や「フォワーダ」といった重機を運びこんで…。あ、そうだ、オペする人も要りますね。オペレーターさんもひょっとしたら鉄人28号のコントローラーみたいなもので、遠隔操縦もするかもしれませんね。

●今の技術の延長線上にあるもの
中: 今は災害時などの特殊な状況で、崖崩れがあるかもしれないという所では、実際に遠隔操縦の機械を使って、機械だけで掘削したり、荷物を運んだりすることもあります。ただ、一般の施業している所では、動きがアトムのようにはならないものですから、まだまだというところはありますが、いずれはそういう部分も出てくるのではないかと思います。
絹: AI、人工知能が非常に話題になりつつありますから、自分で学習するディープラーニングなんていうのを、建設機械が身につけ始めると、将来どうなるんだろうと。実は京都の天ヶ瀬ダムというダムがあるのですが、その天ヶ瀬の再開発の現場で、大手さんなのですが、水中掘削なんかに遠隔操縦のロボットが実際に水の中で活躍しているというのを聞いたことがあります。
中: あの機械は実はうちで提供している機械でございます(笑)。
絹: なんたる偶然!うまいこと触れましたねえ(笑)。
若い人にはもはやわからないかもしれませんが、機動戦士ガンダムのガンダムパイロットに近い、重機のオペレーター、それから重い鉄筋だとか、鉄骨をハードスーツをつけた方が、重機を使わずに、ロボットに乗りながら物を運んだり、大きな石を据え付けたりする。なんか自分でやってみたくなりませんか(笑)。
中: ほんとですね(笑)。近い将来、ただ人間が「キツイ、汚い」という所だけではなくて、補助道具や機械を使うことによって、非常にスマートは建設、あるいは林業ができていくようなイメージが、今の技術の延長線上にあると感じています。
絹: 本当にサンダーバード的な、国際救助隊的なものになって、衛星回線を通じて、「アクティオ本部にサポート要請が入った!〇〇の現場に、サンダーバード2号でグラップラーを送れ!」といった指示をしていらっしゃるのかもしれませんね(笑)。
中: 是非、お手伝いできればと思います。
絹: リスナーの皆さん、荒唐無稽な話に聞こえた部分があるかもしれませんが、実は非常に地道に、日本全国の拠点で展開されております。あるいは「アクティオの森」という、山梨県で林業機械のオペレーションの実習をするエリアを実際にお持ちになっていたり、そこで社員さん対象ですけれども、植林のイベントを家族と共に開催されたりしておられます。
我々京都府の山の中も、実は同じような荒れ具合であります。京都は京都で路網整備に邁進している男たちもいますし、我々の建設業界も人知れず、山屋さんと同じように皆様の足元を支えるということで頑張っております。今日は「アクティオさんはサンダーバードたり得るか」と題してお送りいたしました。
中湖さん、村松さん、狭いスタジオでありがとうございました。
両名: ありがとうございました。
絹: この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そしてわれらが京都市景観・まちづくりセンターの協力でお送りいたしました。サンダーバード、いいですねえ。
投稿日:2017/12/13

第131回 ・まちのちゃぶ台ネットワーク ~子ども食堂の先に見えてきたもの

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成29年10月放送分>

大: 大場 孝弘氏(公益財団法人 京都市ユースサービス協会
京都市山科青少年活動センター 参事)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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大場氏

 

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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た京都の元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最前線をご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲストですが、なんとシリーズ化されました。2度目のご登場です。
公益財団法人京都市ユースサービス協会というのがあります。そこの京都山科青少年活動センターの、ついこの間まで所長をなさっておられて、今は参事という役職に変わられていますが、大場孝弘前所長です。
大: よろしくお願いいたします。
絹: さて、大場さんにお話をお聞かせいただきますのは、山科エリアについてのホットな話題でございます。タイトルを申し上げます。「まちのちゃぶ台ネットワーク~子ども食堂の先に見えてきたもの」と題して、大場さんからお話をお聞きしたいと思っています。ご期待ください。

■第一章 “やませい”実験食堂のこと ー 体験の場として
●大場さんとの出会い
絹: まず私と大場さんの出会いを復習させていただきますと、初めはうちの山科の独身寮の寮監をしてくださっている服部さんのご紹介でしたっけ?
大: そうですね。はい。
絹: うちの会社には独身寮が山科の中井ノ上町にございまして、ちょっとユニークな寮監さんなんです(笑)。大場前所長の眼から見て、服部さんて、どんな人でした?
大: はじめは山科の一部の所に貼らせてもらったポスターを一枚見て、すぐに駆け付けてこられたという方ですね。
絹: これですね(ラジオだから見えるわけないんですが)。
オレンジ色のフライヤーで、「山科で子ども食堂はじめます!」と。「作戦会議5月28日(これ、去年ですね)、第一回目の子ども食堂は6月11日(土)に開きます」というチラシなんです。これを見て飛んできたのが、若い人がお世話になっている独身寮の寮監さんなんです。
それでは山科の子ども食堂、事始め。そしてその子ども食堂が今現在どういうふうに発展して、今日のタイトルである「子ども食堂の先に見えてきたもの」というあたり、大場さんから語っていただこうと思います。では愛称“やませい”の大場孝弘さん、よろしくお願いいたします。
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●まずは前回のおさらいから
大: 前回、お話をさせていただいた時に、山科で「子ども食堂」ができ始めていますよというお話と、それを始めたら本当に色んな人たちがそこに集まってくるというのは、「子ども食堂」って何か不思議な言葉だなというお話をさせていただきました。
絹: そうですね。「子ども食堂をやりませんか?」というと、なんでこんなに色んなタレントを持った人たちがわらわらとわいて出るように、山科青少年活動センターに集まってくるんやとおっしゃっていましたね。
大: ええ、服部さんもその一人なんですけど、普通は自分で開いてみたいとか、お手伝いができますよとか、中には食材を提供しますとか、例えば「野菜があるので使ってください」と。
絹: ありましたね。家庭菜園か何かをやっていて、「この頃もらってもらうところも少なくなって、余らせてしまうから、使ってくれへん?」と来られたんですよね。
大: そういうパターンが多かったんですが、「うちの場所を使いませんか」と服部さんが来られた。食堂をする人たちは、場所をどこにするかで結構困っておられるんです。その時に「場所をどうですか」と言っていただいたのは服部さんが初めてでした。
絹: 建設会社の独身寮ですから、朝は早いし、昼間は空きっぱなしなんです。タイムシェアですね、一種の。
大: そのお話を伺ってから、ひょっとするとそういう形での協力の仕方もあるなと思って、その後、場所などを開拓するアイデアも、その服部さんがきっかけで、私たちも考えさせていただくようになりました。そういう意味でもちょっとこれまでには出会う事のないような、色んな人たちと出会えるきっかけを、実は子ども食堂がつくっているなという感じはします。
絹: 子ども食堂の新しい切り口を大場さんに教えていただいたような気がします。

●山科子ども食堂の草分け“おむすびの会”
大: 実際に山科で始めた時はまだ1つだけでしたが、「おむすびの会」というのをずっとやっていらっしゃって。
絹: 神社で。
大: そうですね。
絹: 僕の大場メモには「子育てサポーターが集まる場をつくりたい」とあります。「子ども食堂のエッセンスを持ってらっしゃるのは、山科で比較的早く、ちょっとしたら一番目かもしれない“おむすびの会”だ」というメモがあります。
大: 「子ども食堂」という名前もなかった時代からやっておられるんです。
やっているセンスは本当に子ども食堂そのものなので、「お仲間に入ってくださいね」みたいな形でお声をかけて、色んな催しをする時にも来ていただいて、お話をしていただいたりといったことを始めていました。
絹: 例えば何神社でやっておられたんですか。山科にも結構神社がありますよね。
大: たくさんありますね。なに神社だったかなあ。正確に言わないといけないので、ちょっと今は申し上げられません。
絹: 検索すればたぶんヒットしますよね。
大: そうです。すぐ出ます。(※補足 神社の名前は若宮八幡宮です。その敷地内にある音羽公会堂で開いています。)

●“やませい”で実験食堂を始めました
大: 「一緒にやりませんか」と声をかけたら、色んな方がお越しになったんです。そこで実際にどういう風に開いたらいいかというノウハウも蓄えないといけないので、じゃあ、うちのセンターには料理室などもありますので、月に一回、そのスペースを使って実験でやりませんかと。
やってみたい人が集まって、毎回テーマを決めて、対象を決めて、それぞれ経験を積んでいただく、その経験を活かして、ご自身のところで自分の思う子ども食堂をやってくださいみたいなことで、「6月から始めます」とお声をかけたんです。先ほどのチラシはそれです。
絹: このオレンジのチラシはその一回目だったわけですね。だから実験食堂みたいなものだったんですね。
大: そうです。実験食堂です。
絹: リスナーの皆さん、山科の青少年活動センター、場所が竹鼻四丁野町。行かれたことのない方のために申し上げますと、小学校と中学校の理科の実験室と家庭科準備室が合体したような、すごくいい感じの…。
大: あとはスポーツルームがあったり、リクレーション施設があったりします。

●子ども食堂、それぞれ性格が違うんです
絹: そこを実験食堂の場所に提供されて、今、テーマを一回ごとに変えてとおっしゃいましたが、例えばどんなテーマなのでしょう。
大: 来られる方の関心が、それぞれ結構違うんです。
例えば「お腹をすかせた子に、腹いっぱい食べさせたい」という人と、「安全な食品を食べさせたい」という人とか、「食育的なことを考えていきたい」など、色んな方がいらっしゃるので、そのまま一緒にやると喧嘩になるんです。
そこで今月はお腹いっぱい食べさせる会にしましょう、そういう人を中心にやりましょうという時には、スーパーに行って、安い食材をゴソっと買ってきて、添加物だのなんだの言わず、とにかくたらふく食えるようにしましょうというふうに考えてやられます。逆に無農薬の野菜などを使いながら作るという会が別の月にあったりします。
また対象も中学生や高校生に関心をお持ちに方や、乳幼児に関心をお持ちの方や、小学生というふうに、色々対象も違うので、例えば小学生を対象にしましょうといった場合には、その関心のある人たちに集まっていただいて、どういう風な形でやろうかと、近くの児童館に伺って「今の小学生どうですか」とお話を聞きながら、聞いたお話の中からプランを立てるみたいな形で、毎回プランも食事のメニューも参加費も全部違う形でやったんです。
絹: それこそ実験子ども食堂ですね。運営主体も自分の所で会場を設定して、いきなりやるんじゃなくて、青少年活動センターで試しておられる。
大: それをやられた事で、食堂の運営だけではなくて、始めるまでにどんな形でどういう人たちに声を掛けたらいいのかといった、色んな事が実はそこでわかってくるので、そういうことを活かして、その後開かれた食堂がいくつかあるんです。だからここでの経験を活かされたという方がいらっしゃるので、これをやってよかったなということですね。
絹: 前回の収録に際して、“やませい”におじゃまして、大場さんにインタビューした時に、山科には現在、子ども食堂的なものが、数か所あるんだよと。先ほどの神社でなさっている“おむすびの会”さん、それから“やませい”の実験食堂、天ぷら屋さんが関わっていらっしゃる“笑人(わろうど)カフェどんげね”さん。

■第二章 子ども食堂ネットワーク広がる
●“笑人カフェ”さんのこと
大: “どんげね”という、宮崎弁で「調子どう?」という感じですかね。元々ご主人がたぶん宮崎の方で、そういうお名前が付いているんですね。“笑人カフェどんげね?~子ども食堂~”という感じですね。
絹: 正式名称が結構長いですね(笑)。
大: たぶん“笑人カフェ”で、インターネットで調べられたらすぐに出てきます。
絹: ここは大石道と三条通の交差点に近いですね。手元に資料として黄色いフライヤーがあるのですが、これも去年の11月のチラシでしょうか。
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大: そうです。12月から正式オープンです。
絹: 子ども200円(お手伝いで無料)、大人寸志(カンパ大歓迎!)と。
大: この値段の付け方も実はうちで何回かやった時に、一緒にやって頂いて、「どうしようか」というので、「子どものお手伝いは無料ですよ」というのも、実はその経験の中でアイデアとして身につけられていった形ですね。
絹: しゃべりに来るのもOK、ご飯だけでもOK、大人一人でも子ども一人でもOKと書いてあります。
大: 今、すごいんです、賑わいが。もう本当に子どもだけではなくて、色んな世代の人が集まっていて。中には精神障害があって、なかなか人と関わるのが難しい方も、そこでなら「なんとなく居心地がいい」という人がいたりして。
絹: 手元のノートの「大場メモ」に、平成28年の12月から「地元の民生委員さんの協力が始まる」と。コラボ団体が登場したと。障がい者団体だとか、おもちゃ病院?
大: おもちゃの病院ですね。
絹: というのはコラボ団体が複数“笑人”さんに。本当に発展していらっしゃるんですね。
大: 本当に色んな人が集まっていて、子どももいるという場所なので、結構地域の中で自分たちの技術を活かして、子どもに何かをしたいという活動がある時に、例えば小学校に持って行っても、なかなか小学校は受け入れてくれないですよね。
せっかく私たちは力があるのに、何かやりたいなと思っても、初めて来た人に頼んでいいかどうかもわからないので…。
絹: 小学校でコミュニティカフェをなさっている例もあるんです。これも何年も前のチョビット推進室のゲストの方ですが、自治連合会長さんが声をかけられた例です。自治連の会長さんは小学校の鍵を預かっておられることもあって、その人が「やると言ったらやる、協力してくれ」と言われてできていたんですけど、普通は小学校の壁って、セキュリティの面もあって、高いですよね。
大: 特に地元の町内会などとかかわりを持っている団体ならいいのですが、それもなくて、個人で集まっているようなグループは特に難しい。そういう人たちが子どもたちに向けて何かしたい場所としては、“笑人”さんは最適なんです。ですから毎回「次はこれをしよう」「私たちもやらせてください」と声をかける人たちが何人もおられるはずです。という意味でも、本当にコミュニティになっている。
絹: これを見て思ったんですよね。ゲスト候補の塊の情報をいただいたなって。またそんな方とここでおしゃべりができたらいいですね。
大: 本当に面白いですよ。やはり何か強い思いを持っていらっしゃったので、今、それ以外にも別の作業所も始められたんです。色んな事をやっておられるので、面白いです。盛武さんという方です。
絹: 盛武さんって、おいくつくらいなんでしょうか。だいぶ年配の方ですか?
大: いや、そんなに年配の方ではないです。まだまだお子さんが小学生くらいですから。
絹: お、若い!それじゃあ、ひょっとしたら40代くらいかも。
大: そのくらいじゃないかと思います。
絹: そりゃあ、期待が持てますね。
大: 本当に面白いですね。

●広がる結ぶ 子ども食堂ネットワーク
絹: あの時に教えてもらった他の子ども食堂的なことをされている“香東園”さん、それと西野山の“NOAH(のあ)”さん、これはコミュニティカフェと小規模保育園が合体しています。“香東園”さんは香川県でやっておられた?
nisinoyama  西野山 NOAH
大: 香川県でできた総合福祉施設で、それが山科にできたんです。そこの方針として、最初から地域の中でそういう福祉的なケアをしたいという思いがあって、ちゃんと外の人向けにカフェがあるんですよ。
絹: 地域に開かれた高齢者施設。
大: それを目指しておられるので、いわゆる食堂ではなくて、外の人向けに、建物も別にカフェがあるんです。そこの建物を使わせてもらって、実は子ども食堂を9月から始まっています。
絹: 大場さん構想は着々と。以前、山科子ども食堂ネットワークというのができたらいいよねとおっしゃっていましたよね。で、一ヵ所で毎週やるのはしんどいだろうけど、月に一回ならなんとかなるわ、あるいは月に二回ならなんとかなるわで、無理をせず、複数の人がやれば、いつもどこかでやっていることになるとおっしゃっていましたよね。すごいなあ。
それからもう一つ「オリーブホットハウス」。
大: ここはまだ、食堂としてはやっていらっしゃいませんが、元々コミュニティ食堂的なことはやっておられるんです。精神障がい者の方の共同作業所なんです。
絹: ここのメモには、障がい者と農園とコミュニティ食堂、野菜がおいしい!って、書いてますね。子どもたちが生野菜に群がると。
大: そうです。今、そこではスーパーなどに実際に品物をおろされているんですが、形が商品にならないようなものもあるし、そういうのを一緒にして、子ども食堂で使うようなことができないかなというのでお話して、子ども食堂パックというのを500円くらいで、作っていただいているんです。それを他の食堂でも使われたりとか。
絹: もうすでにネットワーク化しつつあるんじゃないですか。
大: そうです。どうしても野菜なので、いつも採れるわけではないので、多い時と少ない時と品物の質も色々変わるんですけど、そんなのも含めて一緒にやりましょうかという形でさせていただいていますね。

■第三章 “まちのちゃぶ台ネットワーク”はじめました
●それは子ども食堂ネットワークのチーム名です
絹: さてさて、山科青少年活動センター、愛称“やませい”の大場前所長が構想されて、子ども食堂ネットワークが、あるいは実験食堂ができたらいいよねとなさっているうちに、何か自然に有言実行と言うか、勝手にかもしれませんが、ネットワークが育っちゃってると。
そして今年の夏ごろにはそういうネットワークの第一回の立ち上げをしたいと大場さんはおっしゃっていました。その集まりが実際に?
大: 7月の終わりに、「一回皆さんどうですか。ご意見聞かせてください」という会をしまして、その後9月の初めに、「とりあえず実際に始めましょう」ということで、一応会をつくったんです。その名前が“まちのちゃぶ台”でして、皆さんが考えてくれたんです。
絹: 今日のメインタイトルである“まちのちゃぶ台”。これが緩やかな集合体のチーム名。
大: はい。どういうイメージでというのを、色々皆さんとお話していた時に、「子ども食堂もいいけれども、それだけではなくて、地域の中で子どもと大人がちゃんと出会えて…」
「例えば、子どもに対する見方とか、大人に対する見方がちょっと変わるような、そういう繋がりをつくりたいな」ということで、まちの中にあるリビングみたいな感じがいい。そしてみなが集まるテーブルみたいな感じで、“ちゃぶ台”がいいかなみたいな、そんなイメージで皆さんに決めていただいたんです。
絹: 今日のメインタイトルが、ここで紐解かれました。そして“まちのちゃぶ台”の緩やかなネットワークの集まりが9月に始まったことで、子ども食堂の先に見えてきたものがあるよということを大場さんはおっしゃっています。そこのところを少しお願いします。

●大人の子ども観がまず変わってくる
大:  色んな方とお出会いしたなかで、「こんなことをしてみたい」とか、本当に色んな思いが集まる場所だなというのは、以前にもお話したのですが、実際にやっていくと、子どもと大人がしっかりと出会える場ができるというのは、地域にとってはとても大事なことなのではないかと思っています。
実際に困っている子もいるし、元気な子もいるし、色んな子がいるんですが、そういう子どもと日常的に、月に一回でも定期的にずっと出会っていると、なんとなく、例えばマスコミを通して持っている子どもに対するイメージが変わっていくんですね。大人が実際の子どもの姿を見て。そうするとなんとなくこれまで思っていたような、非行の問題や貧困の問題など、巷で語られている若者像、子ども像で見えていたものが、もうちょっとリアルに一人ひとり全然違うし、その子の中に色んな面があるなということを、大人が見つけていくと、子どもに対する「今どきの子どもは!」という感覚が変わっていくんです。
絹: いわゆる何パターンかあるステレオタイプから大人が抜け出せる…
大: そのチャンスをいっぱい与えてくれるんです。
絹: それが“まちのちゃぶ台”。

●SOSを出せる子どもになるために
大: 逆に子どもにとっても、困り事をいっぱい抱えている子どもだと、親も含めて、大人に対して期待をしてないというか、場合によれば警戒をしている…。
絹: 信用してない。
大: そうです。ずっとそういう経験を積み重ねてきた中で、こういう場所に行くと、自分の事にちゃんと関心を持ってくれる大人がいる、頭ごなしに怒らない、ちゃんと話を聞いてくれる大人に初めて出会える。
その関係がずっと続いて、何か困った時に「実はな」と早めに相談に行けるようになってくれたらいいなと。子どもは情報がないし、周りの環境もわからないので、困った時に自分一人で、ないしは身近な人たちのかなり限られた情報の中で判断をして決定していかねばならないのですが、それをやるとどんどんややこしいことになってしまうケースが多いんです。
絹: 前、大場さんのお話を伺った時に、色々困った大変な状況にいる子どもはいると。だけど本当に大人にSOSを出す術を知らない子どもたちが多いんだと。困った時に初期段階で「助けて、相談がある」と言えたらいいのに、どうにもこうにも大変な状況になって、やっと自分の耳に届いたりすると、「ううっ」と思ってしまうと、おっしゃっていましたね。
大: そういう意味で、色んな形で関心を持ってくれたり、話を聞いてくれたりする大人がいるということを、体験的に学んでいるかどうかというのは、これから先、すごく大事な事だと思っていて、そういう意味で子どもが見る大人観というか、大人に対する見方がそこで変わっていける場所になるといいなと。だから“ちゃぶ台”的でいいなという感じはしているんですね。
絹: 本当にSOSを出せる能力というのは、すごく大事ですね。
大: そういう経験がないと、しようがないので。
絹: うちの会社でも、よく頑張るんですけどね、頑張りすぎて、もうちょっと倒れる前にSOSを出しておいてくれたら、介入できて、なんとかできたかもしれないのにと思うことがね。真面目な子ほど、そういうことになって…。いやあ、しかし子どもの大人観が変わりますか。

●色んな人が集い、関わりあえるプラットフォームをつくりたい
大: そうなるのがいいな、そうなってほしいなということでやっています。
だから子ども食堂だけではなく、実は学習支援の場であってもいいし、関わる色んな人たちがそこに集まれて、お互いに情報を持ち寄って、場合によれば知恵と力を出し合って、お互いの持っている得意な部分で関わっていくようなことができる、そんな場所があれば、色んな人たちがもうちょっと集えるし、関わりが持てるかなというふうに思っています。
絹: いいですねえ。何か一堂に会されたりするんですか?
大: なかなか皆さんが一緒にというのはないんですけど、断片的にはなりますけど。一つそういう集まる場所が何かあれば、とりあえずそこに聞いてみる、ないしは何か投げかけてみる、質問してみるみたいなことができる。「あそこにとりあえず行ってみよう」というふうになれれば、色んな人たちがそこでもう少し繋がれるかなと思っています。
絹: 山科青少年活動センターがそういう「糊」のような場になっていると。
大: ただ、うちがそうなるよりは、そういう場所を皆さんでつくったほうが、役に立つなと思っていて、そういう意味では物理的な場所としては、他にも色んな場所に協力はしていただくのですが、まずはそういう一緒に集まるという、言わばプラットフォームみたいな場所ができればいいなと思っていますね。
絹: そんな所に、うちの公成建設の独身寮の服部寮監がレシピを考えたり、10人前20人前のフォーマットのマニュアルを作りこんだりして協力しているというのは、ちょっとうれしいです。
大: 今回のこの“ちゃぶ台”の世話人も進んでやって頂いています(笑)。
絹: あ、世話人の一人なんですか(笑)。その報告はまだ来てなかったです(笑)。
大: 色んな方が「そういうことなら、何かできることをやりますよ」という形でお声を掛けていただいているので、できることからちょっとずつやりながら、逆に「こんなことしたいんだけど」というご意見があったら、それをみんなで「じゃあ、どうしよう」と考えて形にしていこうみたいなことが、緩やかにできればいいかなと思っています。

●今後のネットワーク構想
絹: いいですねえ。さあ、そろそろ無理矢理まとめに入りますが…。リスナーの皆さんお聞きになっていかがですか?山科ってすっごく面白いなと思います。そして「やませい」の大場孝弘前所長の構想では、府内の子ども食堂ネットワークまで広げたいという大きな夢をお持ちです。そのためにはまず山科だと。山科モデルをつくりましょう。いきなり府内ではしんどいので、例えばコープ、生協のフードロスをなんとかするとか、スーパーさんとも連携出来たらいいよねと。醍醐地域が実は気になっているんだと。しんどい子どもたちの存在を知っているかと。大場構想はおそらくは着実に根を広げております。是非、皆様もご注目をしていただけたらと思います。お別れの時間です。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都市・景観まちづくりセンターの協力でお送りいたしました。大場さん、ありがとうございました。
大: ありがとうございました。
投稿日:2017/10/23

第130回 ・御薗橋をキャンバスにしよう! ~820人の小学生大集合!

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成29年7月放送分>

馬: 馬場 昭光氏 (京都市建設局 道路建設課 係長)
石: 石垣 修治氏 (公成建設株式会社 土木G所長)
絹: 絹川 雅則  (公成建設株式会社)
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 左 石垣氏 右 馬場氏
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た京都の元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最前線をご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲストですが、お二方お迎えしております。お一人目、京都市役所(俗に御池城と言う人もいますが)の建設局道路建設課 事業担当係長でいらっしゃいます馬場昭光さんです。
馬: よろしくお願いいたします。
絹: 馬場さん、よろしくお願いいたします。そしてもう一人、公成建設株式会社土木グループの石垣修治所長。
石: よろしくお願いいたします。

■第一章 観客の多い土木工事のおはなし
  ●事業の概要をお話しますと…
絹: さあ、お二人をお迎えしまして、今日は何の話をお聞かせいただけるのでしょうか。
皆さん、上賀茂神社の袂と言いますか、賀茂川に架かる御薗橋という大きな橋がありまして、今、工事中なんです。そちらの橋について、ご紹介をしていただこうと思います。タイトルは「御薗橋をキャンパスにしよう!~820人の小学生大集合!」と題して、お送りいたします。
まず馬場さん、市役所から御薗橋の方に行きます。だんだん橋が見えてきます。さて、今回の御薗橋の架け替え工事と言ったらいいのでしょうか。その概要を一般の方にバクっと説明していただけませんでしょうか。
馬: 御薗橋は上賀茂神社の玄関口に位置する橋でございまして、昭和12年に架けられた橋でございます。今でちょうど80年経っているなかで、老朽化も進んでいると。
絹: 御年80歳の結構ベテランの橋でいらっしゃったということですね。
馬: そうですね。それとご存知のように幅員が狭く、朝晩を中心に交通渋滞も起こっています。特に歩道が狭くて歩行者同士のすれ違いも、なかなかしんどいという状況のなかで、老朽化修繕に合わせて、橋の架け替えをして幅員を広げるという事業でございます。
絹: 幅員というと、幅ということですね。
馬: 幅です。歩道も車道も広くなるということです。
絹: 堀川通をずっと北大路辺りから御薗橋に向けて車で上がっていきますと、以前よりも橋の取り付け部分と言いますか、御薗橋に入っていく部分がきれいになったな、広くなったなという感じがしますね。御薗橋の架け替えに合わせてというか、その前にだんだんあの辺も整備されてきたんですね。
馬: そうですね。南側からずっと整備してきまして、今は橋の手前まできれいになっているという状況です。
絹: 御薗橋は幅が狭くて、老朽化、昭和12年とおっしゃいました。80歳。土木構造物の寿命と言いますか、土木の技術の方はだいたい何歳くらいだと学校で習われました?
馬: だいたい100年くらいと聞きますね。
絹: しっかりつくって100年、でも50年超えるとそろそろ考えようかとか、あるいは傷んできている所があるよという話もあります。それにしたら80歳というのは元気な橋だったんですね。
馬: そうですね。

●観客のやたら多い工事でした(笑)
絹: さあ、公成建設の土木グループの石垣さん、その現場の責任者として着任されました。馬場係長の概要説明に捕足することはありますか?
石: 一般の土木工事はだいたい山の中とか、海辺であるとか、市街地からはちょっと遠い所にあるのが、土木工事の一般的な環境なのですが、ここの御薗橋の架け替え工事に関しては、市街地の中での土木工事で、橋の架け替えと一言で言っても、色んな人が真横を通っていくような工事で、普通の土木工事とは一味違うような感じでしたね。
絹: そうでしたね。観客がやたら多い工事でしたね。近隣さんに御薗橋801商店街ですか。あそこも面白い商店街みたいですね。以前イベントで自転車タクシーをお使いになったり、一生懸命、まちを元気にしようとされている商店街です。もちろん上賀茂神社に参拝に行かれる方も多いですし、近所に学校も確か3つくらいありましたよね。
現場についた石垣さんは他の工事現場にない観客を毎日お迎えしながらの工事になったと(笑)。なにかリスナーの皆さんにご紹介できるようなエピソードはいくつかお持ちでしょうか。
石: もう、たくさんありますよ!現場を見に来られる地元の方ですけど、たまに来られるのではなくて、毎日来られますね(笑)。特定のお客さんなのですが、毎日来て、雨の日も傘をさして、半日近く現場におられる時もありますし。中にはずっと現場の進み具合を、簡易カメラで撮って、それをアルバムにして、「はい、監督さん、できたよ」と持ってこられる男性の方もいらっしゃいます。
絹: 馬場さんは京都市の建設局で、工事の発注者サイドでありますから、当然管理監督なさいます。京都市さん以外に監督が、地元にいはるわけですね(笑)。
馬: そうですね(笑)。私も石垣さんからこの前、そのアルバムを見せてもらったんですが、なんとも几帳面に撮っておられて、感心しましたね。
絹: 結構なご高齢の方だったんでしたっけ。
石: そうです。70歳以上80歳くらいの方ですね。またそのアルバムを毎日喫茶店に持って行って、お仲間に見せているらしいですね(笑)。で、現場に来られない方代表という意味も込めて、日々写真を撮りに来られているようです。

●注目されることのうれしさと、責任感と
絹: 馬場さん、こんなエピソードを、今まで公共工事と言いますか、インフラ整備だとか、色んな工事のご担当になったと思いますが、お聞きになったことありますか?
馬: ないです(笑)。怒られる事はあっても、毎日毎日来て関心を持っておられる方がいらっしゃるというのはなかなか…。
絹: そうなんですよ。我々建設屋というのは、もちろん建設局の方もそうですけど、インフラの公共工事では、ほこりを立てるし、うるさいし、「迷惑や、あっちへ行け」と、怒られこそすれという経験があるじゃないですか。それから思うと、なにかすごいうれしかった、注目して、「あ、できてきた」と、毎日写真を撮ってくださっている、何かほのぼのとするうれしさと共に、逆にめちゃくちゃ見られてる、失敗したらどうしようみたいなこと、思いませんでした?
石: 思います。やはり私はもっと見てほしい、フェンスとフェンスの隙間から、目を細めて覗いておられる方を見ると、「こっち来て、もっと見て」と思うこともたくさんあるんですけどね。やっぱり、現場で働いていらっしゃる方は、慣れてない方もいらっしゃって、見てほしくないとか…。
絹: 職人さんですね。
石: 見られることに慣れてない方も、中にはいらっしゃいますね。
絹: 橋の上からだけじゃなくて、旧橋と言いますか、今ある橋の南側に新しい橋ができたんですよね。だから橋の欄干と言いますか、高欄の所に手をついて、じっと近場でかぶりつきで見ておられたり、それから遊歩道で毎朝散歩、ジョギングされている方も見ていかれる。
石: そうですね、川の傍に座り込んで、ずっと見ていらっしゃる方もいらっしゃいます。
絹: やはり工事屋としては、工事屋冥利につきる現場だったのかもしれませんね。それだけ注目していただいたと。
さあ、その現場でもう一つくらい何か、リスナーの皆さんに橋のことを紹介できるエピソードをお持ちですか。
 
■第二章 土木工事とイベントと
   ●御薗橋をキャンバスに絵を描こう
石: ついこの間、6月の中旬から下旬にかけて、今、橋の床の部分が完成して、まだアスファルト舗装は載っていない、コンクリートの真っ白な状態の時に、近隣の小学校の児童さんに来ていただきまして、絵を描いて、ドローンで記念撮影するというイベントを開催させていただきました。
絹: 京都新聞のホームページからダウンロードしてきましたけど、結構新聞にも大きく載りましたね。これ、そもそもどういう所からスタートしたんですか?
馬: 公共事業のピーアールというのと、土木工事の担い手不足という課題があるなかで、未来のある子どもたちに対してアピールするようなイベントがないかという話をしていたなかで…。
絹: それはそもそもアイデアの言い出しっぺは誰なんですか。馬場さん?石垣さん?
石: 私の上司の籔田部長です。
絹: ほう、石垣さんの上司が…。リスナーの皆さんに、ちょっとお伝えやすいかなと思って、持ってきた資料の一文だけちょっと読ませてくださいね。
京都新聞社ニュース
タイトルが「御薗橋にみんなの絵、描けた!」
「京都北区の3小学校が制作。拡幅工事が進む京都市北区の御薗橋で周辺3小学校の児童がアスファルト舗装する前のコンクリート面に描いた絵が完成し、27日に記念撮影を行った。7月上旬に舗装工事が始まるため絵は見えなくなるが、子どもらは橋に残る思い出と一緒に写真に収まった。大宮小の全校児童と上賀茂小の6年、柊野小のアートクラブの児童計820人がそれぞれ絵を描いた。「賀茂川の四季」をテーマに、川と船山を背景として季節を表す桜やホタルなどを描いた。」
とあります。今流行のドローンで空撮って、ちょっとすごいじゃないですか。なんで820人も集まるんでしょう。
石: 大宮小学校さんは100周年記念の年でもあって、特に思い入れが強かったというか、その年にかけたかったという思いがおありのようで…。
絹: そうですね。平成29年度は大宮小学校100周年の年です。はじめは大宮小学校さんだけだったけれども、近隣の小学校も一緒にやろうよという話になったんですね。
実は私も本番の時に、ちょっと端っこにいさせていただいて、すごい良い経験をさせていただいたんですけど、お二人が当日のイベントで経験された逸話なんかを、いくつかご紹介いただけませんか。

●どうなることやら、ハラハラドキドキ
馬:  絵を描くにあたって、どういう色が必要なのか、事前にお聞きして準備をしていたんですが、なかなかうまくいってないところもありまして、ペイントの色がないということで、急遽こういう色を出せないかということで、用意している色から手探りで調合して求めている色を作ったということがありました。
絹: リスナーの皆さん、ちょっと想像していただけませんか。普段、真面目な硬い顔をして、「この工事、もうちょっとちゃんとせえよ」と言っているような監督側の発注者の人と、施工者の職人さんたちと仕事をやっている奴らが、裏方で一緒になって、ペイントの色を混ぜ混ぜしているんですね(笑)。笑うでしょう。
石: あっちこっちペンキをつけながらね(笑)。
絹: ほかに何か覚えておられることありませんか。
石: 小学校さんによっては、細かい所まで下書きをされている小学校さんや、ざっと下書きされる小学校さんや、下書きされない小学校さんもあって、下書きされない小学校さんについては、我々からしたら心配でして、「当日、大丈夫かな」と。でも、いざイベントが始まって、子どもさんたちが作業を始めると、やっぱり子どもさんの力って、すごいですね。迫力に圧倒されて、一気に描き上げて帰りましたけどね。一時はどうなるかと思いましたけど。

●御薗橋現場新聞のこと
絹: そしてそのお絵描きイベントだけじゃなくて、工事の説明をする資料を現場に置いたり、それから御薗橋現場新聞、ここに第7号というのがあります。こういう現場の進行状況を地域の人や小学校にわかりやすく、現場新聞を出している例って、あまりないんじゃないですか。
馬: そうですね。私も初めてですね。
絹: これは石垣さんが思いついたんでしょ?
石: そうです。
絹: 橋で今、こんな工事をしています。工程で今、最後の仕上げをやりますとか、所長さんとか、うちの現場の技術屋さんとか、にこっと笑って「こんな人たちがやっています」と、専門用語を使わず壁新聞みたいな感じで、ちょっとそこ説明をお願いします。
石: 地元の方や現場に近い小学校さん、中学校さんに、現場の塀に囲われた中で何をやっているのか、わかりやすいようにちょっとかみ砕いて、工事の進み具合とか、変わった建設機械の説明であるとか、そういったものを盛り込んで、月に1回、新聞を作って配布しています。新聞の中に私が作っているんですけど、「今月の職人さん」というのをトピックで一人選んで書いていまして、こんなことをしているんだというのを、地域の子どもさんたちに魅力アピールという形で、取り込んでいます。
絹: この号では東洋石創の忍穂(おしほ)さんという職人さんが取り上げられています。「世界遺産の上賀茂神社の表参道の架け橋である御薗橋の高欄を担当させてもらうので、すごい期待とプレッシャーを感じています」と、石をコンコンやっておられるのを、子どもも見てくれているんですね。
石: そうですね。うれしいですね。
絹: この工夫があったことも、小学生の皆さんが820人も来てくださったことに、ちょっと繋がっていたのかなという気がします。
石: 新聞を月に1回配りに、私が小学校まで行くんですけど、小学校に行くと目立つところに貼って頂いているので、「毎日、色んな児童さんが見てますよ」と先生がおっしゃっていただけるので、結構見てくれている人は多いのやなというのを感じました。

●てんやわんやでしたが、感動ひとしおでした
絹: さあ、今度は馬場さん。馬場さんもネタはいっぱい持っておられるでしょ?撮影アングルって、何ですか?
馬: 撮影アングルというのは、800人が来るので、どういったアングルで撮るときれいに写るかというのを、ぶっつけ本番ではなく、写真撮影の前に僕らの方で見て、このポジションでと設定したということです。
絹: だって静かに現場主体でやろかと言っていたら、そのうち副市長さんは来るわ、市長さんは来るわでだんだん大事になって、大変でしたものね。
でも撮影の後で子どもたちが、京都市の方々やうちの現場の職員たちと、「おっちゃんありがとう!」と言って、ハイタッチしたり、握手したりして、うれしかったなあ…。橋の部材のぶっとい鉄筋を撫でまわしている子もいましたよね。なんか不思議なイベントでした。
各地でこういう事に類するイベントは行われているようですが、自分たちが絡んで、近場で見せていただくと、また感動ひとしおみたいな。この子達、820人の中で将来うちらの業界へ、ちょっとでも来て!みたいな感じになりましたね(笑)。
石: 材料とか色々展示していたんですけど、手で持って実際に触ってみると、目の色が変わっていましたものね。
馬: 意外と食いつきは良かったですよね。

●「みっけ隊」のプレゼンもしました!
絹: それから京都市さんもご担当の方が出張って頂いて、※スマートフォンアプリケーションで建設局が開発された「みっけ隊」のプレゼンもされていましたね。
馬: そうですね。とりあえず広げていかなければならないものですから、色んな場面でピーアールしているところを、今回のイベントにも絡めてピーアールさせていただいたというところですね。
絹: この番組のヘビーリスナーの方なら覚えておられるかもしれません。同じく建設局から少し前にゲストに来ていただいて、一般市民がスマートフォンで公共施設のインフラの不具合を見つけた時に「道路に穴ぼこあるよ」とか「ガードレール曲がっているよ」とか気が付いた時に、パチッとGPS情報と写真をつけて、京都市の土木事務所に送ってねというアプリケーションを作られたんですよね。それが「みっけ隊」であると。京都市では市民の方々に、土木構造物やインフラの足元の事に興味を持っていただきたいと、京都市の高度技術研究所と京都市建設局が一緒になってつくりこまれた。それの解説をこの御薗橋のイベントでもなさっていたわけですね。
馬: お母さんがアプリ取っているよという子もいたんですよね。
※このみっけ隊アプリについては、第118回第123回にて特集しております。
宜しければこちらもお聞きください。

●足元の確かさを支える仕事と子どもたちと
絹: もう一つだけ、イベントあるいは御薗橋の工事全体で、忘れがたいお話とかありますか。
石: 私はこの御薗橋の現場で携わって2年近くになります。今、華々しく橋が架かっていますけれども、橋を支えている橋台とか橋脚という橋を支えるコンクリートでできた構造物を作った時の事が忘れられません。どうしても時期的に真冬につくらざるをえないところがありまして、冬にコンクリート構造物をつくった思い出がなかなか忘れられないんです。
絹: 本当は、コンクリートはあまり冷たい時に打ちたくない。だからジェットヒーターみたいなもので、ガンガン温めて寝ずの番をしたりするんですよね。でもきれいにできましたね。
石: そうなんですね。本当に温度計を見ながら、ヒーターの燃料が切れないようにお守をして、凍らないようにずっと見守っていたのが、なかなかやりごたえがありましたね。
絹: 全て現場の人たちの苦労、あるいは京都市建設局の人たちの苦労が、一般の方々に見えるわけではありません。さりながら今回の6月のイベントのように、一般の方々に来ていただいて、820人に絵を描いていただく、自分たちの足元に普段当たり前にある橋、道路、なでなでするように見ていただいた。それだけでもありがたいと感じてしまいます。
リスナーの皆さん、今日はちょっと変わったエピソードばかりでしたけど、お聞きになっていかがでしたでしょうか。皆さまの都市生活の足元を支える人たちが、ここにこうしておられます。その活躍というのは、普段は見えません。でも820人の小学生とその父兄たちが来てくださったように、見えないけれども足元にある確かさを支えることの大切さを、子どもたちの心に刷り込まれたイベントだったとしたら、ちょっとだけ期待が持てます。大切な事は実はちょっと見にくいのかもしれません。御薗橋に行かれることがあれば、こんなことがあったのかなと、もし思い起こしていただければ幸いでございます。
いかがでしたでしょうか。京都市建設局の道路建設課の馬場昭光担当係長と公成建設の土木グループの石垣修治所長というお二方をお迎えしての御薗橋イベント特集でした。また来てくださいね。
両名: はい、ありがとうございます。
絹: この番組は、心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力プロジェクト、そして京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りしました。お二方、ありがとうございました。
投稿日:2017/08/01

第129回 ・リワーク施設では何がなされ、利用者は何を学んでいるのか

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成29年4月放送分>

鹿: 鹿野 麗子氏 (医療法人栄仁会 京都駅前メンタルクリニック
aaaaaaaaaaaa復職トレーニング専門デイケア「バックアップセンター・きょうと」)
絹: 絹川 雅則  (公成建設株式会社)
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た京都の元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
それでは本日ゲストをご紹介いたします。今日は女性お一方です。ひょっとして、このタイプの専門家をこの番組にお迎えするのは初めてかもしれません。栄仁会 京都駅前メンタルクリニック 復職トレーニング専門デイケア「バックアップセンター・きょうと」臨床心理士の鹿野麗子さんでいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。
鹿: はい、よろしくお願いいたします。

■第一章 復職トレーニング専門デイケアって、ご存知ですか?
●「もう一度、働きたい…」に、寄り添って
絹: さっきも申しましたが、臨床心理士の方をお招きするのは、本当に初めてです。少し緊張しております。
では、本日のタイトル、テーマを申し上げます。「うつ病などの休職者のための復職トレーニング専門デイケアが京都にあるってご存知ですか」と題してお送りいたします。副題として「リワーク施設では何がなされ、利用者は何を学んでいるのか」と題してお送りいたします。
リスナーの皆さんにお伺いしたいのですが、と言っても答えがこだまのように返ってくるわけではないのですが、「復職トレーニング専門デイケア」ってわかりますかね。「バックアップセンター・きょうと」って、何それ?という方は結構おられるのではないかと思います。実は番組進行の私自身がつい最近まで、この存在に気付いておりませんでした。そもそもバックアップセンターとは何ぞやというところから、鹿野さんにひも解いていただきたいと思います。お願いします。
鹿: はい、よろしくお願いいたします。
絹: どうですか?聞いたことのない人にどう説明されます?
鹿: まず栄仁会ということで、ご紹介いただいたのですが、私どもは医療法人でございまして、病院などを運営している法人になります。
絹: 確か宇治のほうに「おうばく病院」って、ありますね。
鹿: はい。「宇治おうばく病院」がございまして、そちらの系列で京都駅前にメンタルクリニックを持っております。
絹: 精神科領域では結構評判といいますか、知る人ぞ知るという病院じゃなかったですかね。
鹿: 歴史もあるかと思います。民間の病院ではありますが、精神科の病院として、京都の南のほうでは、割と知ってくださっている方もおいでになるのではないかと思っております。その医療機関が提供している復職トレーニング専門デイケアということになります。
この復職トレーニング専門デイケアとは何ぞやということですが、うつ病など、メンタルの問題で会社をお休みしてしまわれた方がいらっしゃっています。昨今、数も増えているように思いますけれども、長らく自宅で療養されていた方が、「さあ、会社に戻ろう」というときに、その前に少しこちらのほうでバックアップできることがないかということを考えました。
お仕事に戻られる前に、生活リズムを整えたり、体力をつけたりしていただきます。また、お仕事をされている時に、何かご自分の仕事のやり方の面でうまくいかなかったとか、物事の捉え方の面でうまくいかなかったとか、陥ってしまいがちな行動パターンでうまくいかなかったということがお有りだったと思うんです。
そういう事でお休みをされていて、戻るにあたって、うまくいかなかったところを少し振り返っていただいて、まさにリハビリですよね。ちょっと整えていただいて、考え直したり、練習ができたりといった場も提供させていただいています。もちろん毎日通っていただくことで、生活リズムがついたり、体力がついたりもするんですが、私どもでは専門のプログラムをご提供しております。

●こうした施設は全国で増えています
絹: このプログラムが、リスナーの皆さん、なかなか優れものなんです。実はつい先日、ワンデイですけど、リワークプログラムに通ってこられる方が受けていらっしゃるのと同じようなもの、どういうものを受けているのか想像できるようなものを、私自身が、総務の担当の者と体験させていただきました。
それですごく感心したのですが、その時にいただいた資料を、パワーポイントのスライドの写しをいただいておりますので、ちょっと読みますね。
「バックアップセンター・きょうと」というのは、うつ病だとか、ストレス関連疾患、それから双極性障害と診断された方で、職場復帰を目指している方のための復職プログラムを提供する施設ですということを、いの一番に説明していただきました。
こういう施設、あの時のセミナーで、全国的にもう160数か所あると教えていただきました。これはやはり厚労省だとか、そういうところが推進しているんでしょうか。民間がおうばく病院さんのような形で、それぞれが民間の力で推進しておられるのでしょうか。
鹿: 今の「リワーク研究会」という研究会組織は、公的なものではなく、民間の方が声を掛け合って集まっています。ただ個々バラバラなことをやっていても、効果がきちんと出るかはわからないので、なるべく全国どこで受けても、ある程度の品質といいますか、同じようなプログラムを受けて、再発防止ができるように取り組んでいます。
絹: テレビなどで「うつ病は心の風邪だ」というようなフレーズが流行ったことがありましたね。でもそんなに簡単に思っていいのかなと、最近僕は思うようになりました。こうやってリワークプログラムのように、ちゃんと編まれたプログラムを専門家の助けを借りて体験することで、復職への道が開けるというのが本当にあるんだなということを、この間見せていただいて、実は驚きとともに感激したんです。

●ご登録いただくにあたって、少し条件があります
絹: また概要のほうに戻りますけれども、どのくらいの人数の方が京都駅前の「バックアップセンター・きょうと」さんのほうに通われているんですか。
鹿: 一応、精神科・デイケアの枠組みで登録をさせていただいていますので、定員を36名ということで運営させていただいております。
絹: デイケアと言うと、高齢者のデイケアをすぐに素人はイメージするんですが、うちの80代の親もデイケアセンターに通ったりしていますけれども、ああいう形の精神科版のようなものをイメージすればいいんでしょうか。
鹿: より職場に近い形を想像していただきたいんです。職場の慣らし勤務に代わるような形で、お仕事をお持ちの方で、今お休みされている、いわゆる働き盛りの方と申しますか、老若男女が集ってきておられます。
絹: 学生さんじゃないんだよと。ちゃんと社会人で職を持っている人で、気分障害とかストレス関連疾患で現在職を休まれている方、休職中の方、一年以内に復職が見込めると判断される方、それからお医者様に通われていて、主治医の先生がリワークの段階に達していると判断されている方と、いろいろ、少しですけど、条件はあると。
で、その精神科デイケアという仕組みの中で、36人の枠で、集団でみんなと同じような悩みを持つ人と、一緒に助け合いながら復職を目指す。でもチーム戦ができない人は困りますよね。
鹿: 会社でもチームでお仕事をされていると思いますので…。
絹: だから一応、集団を乱さないでほしいという条件は守れるねというのは、最初にあるんですよね。
鹿: そうですね。はい。

●いわば、慣らし運転の場なのです
絹: スタッフの方のことをお伺いしたいのですが、36人の方を受け入れるバックアップセンター・きょうとのスタッフ、どれくらいおられるのでしょうか。
鹿: 曜日によって少し変化も出てきたりはするんですが、提供するプログラムによりますので、だいたい7名で対応させていただいている形になっています。
絹: ここに「おうばく病院」の冊子があって、そこに鹿野さんが写っていらっしゃるのもあって、こういうのを見ると、精神科のお医者さん、看護師さん、精神保健福祉士さん、作業療法士さん、臨床心理士さんとかなりの種類の専門領域の方が寄っていらっしゃって、分厚い布陣だなというふうに感じました。なかなかこれだけの人が同じ場所にいて、隣には精神科クリニックが併設されていて、一般のカウンセリングなんかも、あるいは診察や治療行為なども隣の診療所ではなされていて、その隣のリワーク施設は、会社の会議室の少しくだけたような、居心地のいい、図書室とも見えるような…。
鹿: 談話コーナーとでも言いましょうか。
絹: セミナーなどを受けるのに適したような明るい部屋がありました。
リワークプログラムと言うか、休職していた方が復職したいと思う時に、いきなり以前の職場に戻って「さあ」というよりも、慣らし運転する場所があったらいいんじゃないのという考え方ですよね。
鹿: そうですね。

■第二章 具体的な内容を、少しお話ししましょう
●プログラムには3つの段階があります
絹: その慣らし運転のバックアップセンターでなさっているプログラムについて、リスナーの皆さんが想像しやすいような情報をいただきたいのですが。
鹿: 36名の方々が通ってこられていると申しましても、治療段階と言いますか、回復度合いは個々様々なわけです。ですので内部では3段階に分けております。ステージ1、ステージ2、ステージ3ということで、まず通い始めの方々は、生活リズムをつけていくとか、集団に慣れるというところを主眼に置いて過ごしていただく期間があります。ですのでお家でゆっくりお休みされている方が、いきなりリワーク施設に行ってどうしようと心配になられなくても、まずは通ってみていただければと思います。
みんながいる所でちょっと座って、静かに読書をしていただくとか、読書もちょっと頭に入りにくいという段階の方もおられるので、そういう方にはパソコンソフトを使って脳トレという簡単なゲームをしていただいたりとか、ペーパークラフトと言いまして、型紙を切り抜いて貼り合わせて作品を作っていくということで指先のトレーニングになったり、大勢の人と同じ場で過ごすという時間をつくっていただくことで、人がたくさんいる場に慣れるという段階を設けていまして、それがステージ1という段階になります。
そこでリズムがしっかりついて、通ってこられるようになりましたら、次のステージ2という段階になりますので、そこで初めて私どもの施設がご用意している講座を受講し始めていただくことになります。2つの講座をご用意していまして、コミュニケーション講座というものと、ストレスマネジメント講座というものをご用意しています。

●2つの講座をご用意しています
絹: ストレスマネジメント講座って、興味ありますね。やっぱり精神的に落ち込みすぎたり、しんどくなって休んじゃうという人は、ものの本によりますと、認知のゆがみというような、考え方や行動様式に癖があるそうです。素人なりの見解ですけど、すごい能力があって、誠実で真面目で、やる気もあるのに、「そこまであんた、自分を責めんでいいやん」というタイプの方がわりあいガクっとなるような気がするんですが、どう思われますか。
鹿: そうですね。そういう方って、やはり柔軟性に欠けるところがおありになるのかなと思って。真面目一本やりで、もちろんうまくいったり、成果もあげてこられたから、それでずっと来たのでしょうが、やはり今、変化の多い世の中ですので、それだけではうまく対応できないという局面で、しなやかに柳のように揺れたらよかったんでしょうが、そこがぽきっといってしまうということなんでしょうか。
絹: 元気な時にはすごく業績を上げてくれたりとか、後輩の面倒を見たりとか、音頭を取って中心的にリーダーシップを発揮したりしていたのが、ぽきっと行ってしまったのが、わが社でもありましてね。実際にその人、「バックアップセンター・きょうと」さんで、うちの第一号として、お世話になっているんです。それまでそういう経験をわが社ではしたことがなかったので、すごくびっくりしたとともに、そういう場所が世の中にあったんだということを教えてもらってよかったなと思っています。世の中にそういうものがあるよという存在を教えてくださった方がいて、「あなたそういう勉強をしたことがないでしょう」と言われ、「えー…」となったのですが、でも、いいですねえ、すごく。
鹿: 勉強という意味では、学校や企業の中で、「ご自身の考え方を振り返りましょう」とか、「行動を分析してみましょう」というようなテーマはないですよね。「人に上手にものを頼みましょう」とか、「うまく断りましょう」みたいなことはあまり学んできてないじゃないですか。ですので、そういうことをここの施設でやらせていただいている面もありますね。
絹: 徐々にバックアップセンターって、どんなのかイメージが持ててきたかもしれません。ここで鹿野さんが実際に現場で感じられた印象深いエピソードがあったら教えていただけますでしょうか。
鹿: 先ほどステージ2のところで話が終わってしまったのですが(笑)、ステージ3という段階もありまして、そういう講座も受けて、だいぶ心身ともに安定してこられて、もう少し負荷がかかっても、お仕事に近いようなテーマを持ってもできそうだという方にステージ3という段階で頑張っていただきます。
絹: 課題図書の要約、例えば『うつ病からの復帰』というような専門文献を…。
鹿: 『うつからの社会復帰ガイド』という図書ですね。
絹: それの要約をレポートでまとめるといった作業もこちらであるというふうに教えていただきましたが。それはステージ2、3どちらになるのでしょうか。
鹿: それはステージ1の間にやっていただきます。

●回復を目の当たりにしながら
鹿: 感慨深かったことということで、お題をいただいたので、そのお話をしますと、やはり1,2,3と上がっていくというのは、変化していくということを目の当たりにしますので、最初活気なく、来るだけでしんどそうにされていた方が、本当に回復してこられて、表情も明るくなり、活気も出てきて、周囲とコミュニケーションもできるようになり、お仕事に近いようなワークを過ごしていただいて、「戻っていきたいんです。いつ僕、戻れますか」というふうにスタッフに話しかけてくださるというのは、本当に実感できる喜びとして挙げられまして、スタッフは等しくそのように感じているのではないかなと思います。
私があともう一つ思っているのは、メンタルの病気になって復帰される方は、もしかすると今までやってきたことをあきらめねばならないとか、今までとは同じようには働けないみたいな、どこかあきらめのような、レッテルを貼られてしまったような、そんな感覚をお持ちではないかと思うのですが。
絹: それはもし復職を果たしたとしても、従来の部署に戻れないだとか、あるいは100%のパフォーマンスを発揮できないというふうに、周りから見られちゃうんじゃないのという心配を、不安を抱えちゃう。

●復職後のパフォーマンスがかつてより上がるケースもあります!
鹿: そうですね。周りからみられる心配もありますし、自分自身もできないのではないかと考えがちだと思うんですね。ただ私はリワークに関わっていて見ておりますと、プログラムでいろんなことを勉強されて、いろんな訓練をされるんです。そうすると今までなかった考え方が増えたり、今までしてこなかった行動パターンが増えたり、一人で抱えることが必ずしも良いパフォーマンスにつながらないということに気付かれたりするわけです。
絹: 例えばSOSが適切なタイミングで出せるようになるとか…。
鹿: そうです、そうです。逆にしんどそうな人に気付いて、声を掛けられるようになるということもあるでしょうし。
絹: 自分がしんどかったから、あいつもきっとしんどいに違いないと思える。
鹿: ええ。ですから助けたり助けられたりというような体験が、職場の中でも起こってくると、職場自体も風通しが良くなってきますし、その方自身も休む前と仕事のやり方が変わるので、パフォーマンスが上がる可能性も大いに秘めているんです。
絹: それって、すごいことですね。助けたり、助けられたり、ある種理想で、健康的な組織の姿ですし、追い求めて、なかなかそこに行きつけずにあがいている日常というのは、私にもありますけれども、復職後のパフォーマンスがかつてよりも上がるケースすらありますよと。

●OB交流会のお話から
鹿: そうなんです。そういうお姿を拝見できる機会があって、OB交流会というものを、私どもでは持っているのですが、職場に戻られた方が定期的にこちらのリワーク施設に土曜日に時間をつくって来ていただいて、近況を報告していただています。
そうすると「いや、実はこんな仕事をしているんですよ」とか、「こんな資格をとったんですよ」とか、「実は部下をもつことになりまして」といったお話を聞くと、「ああ、本当に変わられたな」というふうに実感できるのは、とてもうれしいですね。
絹: 今、復職プログラムに参加した人の中で、かつてのパフォーマンス以上の仕事のしかた、ものの考え方、感じ方が変わったことによって、昇進の実例すらあるんですよという、何かすごくほっとするエピソードを教えていただきました。
で、実際にこういうリワークプログラムを利用する、参加するにあたって、少し注意事項もございましたね。できればどの段階で来るといいよというのは、ありましたか。

●なるべく早い段階で、まずはご相談ください
鹿: もうギリギリの残り一か月しか休職期間がないというようなタイミングとか、傷病手当金が切れてしまうというようなタイミングで来られると、焦燥感ばかりが募ってしまって、腰を落ち着けて取り組めないということが起こってくるかと思います。
できうるなら少し起きている時間が増えてきて、お医者さんからも「少しお散歩とかにも行った方がいいんじゃないの?」とか、「家族と外出してみたら」みたいに言われる程度になられましたら、こちらのデイケアにショートケアという3時間のご利用の枠組みもありますので、ご利用頂けたらと。
絹: 「トライアル利用とかもあるよ」とおっしゃっていたものですか?
鹿: トライアル利用はまたちょっと別の仕組みなんですけど(笑)。
絹: まずは床上げして、3時間くらい動けるようになった段階で、こういう復職プログラムに参加すると、再発の率が結構下がるのではないかというデータが…。
鹿: 長く通っていただく期間を持てば、しっかりプログラムも最初から最後まで受けられます。私どもの施設では、先ほど申し上げたコミュニケーション講座も、ストレスマネジメント講座も、全15回で構成しておりますので、受け終わるのに3か月半かかるんですね。ですからそれを受けないままに戻っていかれるのは、やはりもったいないという気持ちもありますので、余裕がある時に来ていただくと心配せずにゆっくりお使いになれると思います。
講座を受けるということも期間がかかりますし、そこまでに到達するまでに慣れるということも、なかなか慣れない。来ると決めたけれども、実際来はじめると毎日来るのがつらいということも起こってきます。そういう慣れる期間を十分とった上での講座スタートという導入をしたいと思っていますから、慣れる段階であれば、それこそ床上げして、しばらくしたらお昼からでも来ていただいて、3時間過ごして帰っていただくというご利用の仕方から、徐々に慣れていっていただいて、午後に来ていたものを午前に振り替えて進めていくこともできますので、ギリギリというよりはなるべく早い段階で、まずはご相談いただくのがよろしいかと思っています。
絹: リスナーの皆さん、いかがでしたか。すごく大切で、深くて、重いテーマのほんのさわりを鹿野さんの協力でお送りいたしました。リワークプログラム、バックアップセンターというものの存在をぜひ意識していただけたらと思います。また第二回続けていきたいと思います。
この番組は、心を建てる公成建設の協力と、京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りしました。鹿野さん、ありがとうございました。
鹿: どうもありがとうございました。
投稿日:2017/04/25

第128回 ・OPEN DATAの開く近未来

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成29年3月放送分>

 

清: 清水 和孝氏 (京都市 総合企画局 情報化推進室 行政情報化推進係長)
絹: 絹川 雅則  (公成建設株式会社)
 IMG_20170216_170844
 左絹川 右清水氏
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た、京都の元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最前線をご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介です。本日はお一方、京都市からお越しいただきました。京都市 総合企画局 情報化推進室 行政情報化推進係長でいらっしゃる清水和孝さんです。清水さんお願いいたします。
清: お願いいたします。
絹: 清水さんと初めてお会いしたのは、2月4日、あるすっごい濃密なイベントでお会いしたんです。その名も「オープンデータ・ロボット活用イベントin京都」、新たなICTを使って未来に繋がるイノベーションを考えましょうよというイベントだったんですけど、その進行だとか裏方だとかで大活躍されていた清水さんにお越しいただいて、リスナーの方にも「なんかこれ、すごかったよねえ」というのをお伝えしたくて、今日来ていただきました。
番組タイトルとテーマですけど、「OPEN DATAの開く近未来」と題してお送りいたします。清水さんどこから行きましょうかね。

■第一章 「オープンデータ・ロボット活用イベントin京都」おもしろかったあ!
  ●オープンデータって、いったい何?
清: そうですね。2月4日の「オープンデータ・ロボット活用イベントin京都」について、少しご紹介したいと思います。
絹: 行ったことがない、参加したことがないよという方に、「何がどう面白かったの」というのを、企画された裏方としての清水さんの立場として、少し解説を加えていただけますか。
清: 面白かったと言っていただけると、我々イベントを開催させていただいた者としては、非常に有難いと思っております。このイベントは京都市役所で、今回、オープンデータのポータルサイトを開設して、いよいよ京都市でもオープンデータを全庁的に推進していこうというなかで、市民の方、団体の方、企業の方、大学の学生さんも、こういった動きを知っていただきたいとの思いの中で、2月4日にイベントを開催させていただきました。
絹: そもそもオープンデータって、よくわからない方もおられるかもしれませんよね。オープンデータがきちんと使われるということ、あるいはそもそもオープンデータとは何なのか、少しそこを「ひらがな」にしていただけますか。
清: 一般的に、行政機関が保有する公共データのうち、いわゆる二次利用と呼んでいるんですが、色んな形でデータを使っていただくことができるというもので、さらに今まさにICTの時代ですので、機械判読に適した形で、公開したものをオープンデータと呼んでおります。

●機械判読できると、どんないいことがあるの?
絹: 今、「機械判読」というちょっと難しい言葉が出ましたけれども、電子データでも例えば、PDFファイルを貰った日にはちょっと使いにくいよねということがありますよね。それを行政の方が持たれる膨大なデータを一般の人がそれを使って活用しやすいようにする。また、データを貰ったけど、再度読み込んで加工したりして、ジャマくさくてしかたがなかったのが、CSV形式のように、そういった手間が省けるようになると、何かすごいことが起きないかしらというところがあるんですよね。
清: はい。機械が読めるというのは、今、お話に出た例えばPDFですと、人間の目で見ると非常にわかりやすい形なんですが、機械ではどこに何が書いてあるかわからないということがあります。スマートフォンやパソコンなど、色んな機械が身近に使われているかと思うのですが、そういったものでデータを活用していこうとした時に、やはり人間の目で見ただけでは使い勝手が悪いということがあります。そこで先ほどのCSVといった形式で、色んなコンピューターで扱いやすいのが、オープンデータとして適しています。

●データを徹底的に開放せよ!-京都府と京都市が相互乗り入れに
絹: 2月4日のすごいイベントを、京都府さんと京都市さんが中心になって企画されたのですが、初めの来賓あいさつで、僕、ビビりました。内閣官房からIT総合戦略室の企画調査官さんが挨拶に立たれたり、総務省からは情報流通振興課の企画官、それから早稲田大学の政治経済学術院の稲継教授、それから京都府の政策企画部の梅原副部長が、Pepperと掛け合いの漫談みたいな挨拶をされて…。既に京都府と京都市が共同してこういうことに当たろうとされている。データも乗り入れようという精神を、まさに表現されていましたね。
清: はい。本当にスマートフォンとパソコンとタブレットだけではなくて、今やロボットのPepperが人間の代わりにしゃべってくれるとか、そういう時代になってきているということで、そういった機械、コンピューターが使えるようなものを、これからどんどん出していくというのが、非常に重要なところではないかと思っています。
絹: もう一度復習させていただきます。清水さんに解説していただきましたが、オープンデータとは、官庁あるいは民間の持つデータ、情報を、民間が二次データ利用できる形で広げていこうぜ、という動きであるようです。そしてこれは先般、未来投資会議という会議が中央省庁であったそうですが、安倍総理のコメントで、「データを徹底的に開放せよ」と。それがこれからの超少子化社会、人口減少社会を乗り切っていく、1つの大事な柱になるかもしれないという意識で、中央からも、われらが京都府、京都市に対して「こういう動き、頼むぜ」というような期待を寄せられていると思ったらいいのでしょうか。
清: はい。本当にデータをどんどん開放して、もしくは公開して、皆さんに使っていただくということです。それによって日本全体の経済が活性化したり、市民の方々に使っていただくなかで、「京都って、こういうまちだよね」ということを理解していただくのに、よりデータを使ってみていただこうということかと思っています。

●事の起こりは東日本大震災でした
絹: リスナーの皆さんにイメージを持っていただくにはどうしたらいいですかね。オープンデータが皆さんに意識され出したのは、いつごろからでしたかという話がありましたよね。東日本の震災以降だということ、あれはどなたのご挨拶だったのか、稲継先生でしたっけ?
清:  そうだと思いますね。すみません、そのあたりは私も裏方でおりましたので(笑)。
絹: 東日本の震災の時に、どの道が通れるんだろう、避難所はどこにあるんだろうって、みんなでデータが共有できれば、もっと色んな人が助けられたのにねという問題意識があちこちで言われたらしいですね。
清: やはり避難所に到達するのに、災害が起こったら通れないですよねというところを、車の位置情報や実際に走っている情報をデータとして扱えば、どこの道が通れるか、そこに避難物資が届けられるということがわかってくるということです。
絹: 例えばカーナビゲーションの情報で、震災の後、走り回っているデータ、これはビッグデータと呼ばれる範疇でしたよね。それが一般の方が使えて、加工しやすいように。それと行政が持つ避難所情報、「この避難所が生きてる」、それから支援に入っているNPOが「この物資が足りない、足りている」という情報が、もしうまくリンクできるとしたら、「何が起こったのだろう、起こるのだろう」ということがわかるというイメージの仕方でいいですか。
清: そうですね。まさにオープンデータだけで全て解決するというわけではなくて、やはりビッグデータやオープンデータの避難所の場所の情報などを実際に使えば、どこに物を届けたいのか、どこで困っている方がいらっしゃるのかというようなことがわかってくるのではないかと思います。

■第二章 どんなアプリケーションがあるの?
  ●歩くまち京都アプリー例えばバス停の位置や乗り継ぎや…
絹: では京都市の行政情報をオープンにしよう、あるいはデータを集めて開いていこうというので、いくつか既にスマートフォン用のアプリケーションが開発されているそうですね。情報化推進室に異動になられる前は、清水さんは京都高度技術研究所におられたという経歴の持ち主ですから、ちょっとその辺についてお聞きします。
次世代統計アプリ」とか、あるいは「歩くまち京都アプリ」、「京都はぐくみアプリ」この辺の解説できるところと言いますか、ネタをお持ちですか?
清: 例えば「歩くまち京都アプリ」は、非常に多くの皆さんが使われているアプリです。観光客の方が、今いる場所からどこに行きたいか、どこどこのお寺へ行こうということだけがわかっているという状況のなかで、市内の移動となるとやはりバスということになるかと思うのですが、それをどのように乗り換えていくのか、乗り換える前にそもそもバス停がどこにあるのかといったものを案内していただけるアプリになります。
絹: このアプリケーションは京都高度技術研究所がやったのですか?
清: もともと国の実証実験のなかで、オープンデータというのはこういうことで使えるよねということで取り組まれているものです。
絹: ほう、わかりやすい事例としてオープンデータって、こういう活用の仕方があるのを、皆さん見ていただけます、使ってくださいという感じでやったのですか?
清: そうです。バスの位置というのは、公共のデータでしかないというところがありますので、そういったものをより使って行こうということです。実際には実証実験という形になりますので、まだまだこれから改善の余地等は出てくると思うのですが、非常に使っていただけるものになっているのではないかと思っています。

●みっけ隊アプリー道路の危ないとこ、みっけた!
絹: それともう1つ、実証実験でひっかかりましたけど、私自身も「みっけ隊アプリ」の実証実験にちょっとだけ参画したことがあります。リスナーの皆さん、覚えていらっしゃいますでしょうか。何か月前かのこの放送で「みっけ隊アプリ」の関係者にゲストに来ていただきました。京都市の建設局の藤井那保子さん以下、あれは非常に面白かったですね。
レポーティングアプリの一種ですか、市民の皆さんが「道のここに穴があいてる、亀裂が走っている、危ないよ」と気が付いたら、パチッとスマートフォンで画像情報と位置情報とコメントを載せて「ここ、直してね」と土木事務所に連絡してくださるというアプリです。あれが集約されるとすごいことが起こったわけです。
清: 市民の方が直接「こういう所が悪いよ、壊れてますよ」という情報がいただけるというのは、我々としても非常に有難いお話です。また、実際に京都市が修繕したということになれば、連絡をされた方にとっても、自分の参画した内容が行政に伝わって、自分のまちが活性化していくのを実感していただけるのではないかと思います。良い取組をさせていただいていると思っております。
絹: もしそういう市民のボランタリーな協力がなかったとなると、行政担当者が全部回って、あるいは我々のような建設業者がチェックしてとなると、当然手が足りませんよね。予算も足りない。でも地域の人が、心ある人はそうやってわが町の大切なインフラが壊れていることに気が付いたら、せめて「直してよ」と言う事くらい、言うよと。直すのに時間がかかったら「あれ、どうなったのかな」と土木事務所などのホームページにアクセスすると、「これは直しました」「これはまだです。優先順位はこちらが高いです」「京都市の予算も限りがあるので、もうちょっと待ってください」ということをやってらっしゃったんですね(笑)。
清: そうですね。やはりそこのベースになっているのは、データだと思いますので。
絹: 市民の方々がデータを寄せてくださると。だから民間がデータに参画する、それと京都市が既にお持ちになっているインフラの位置情報とか、年齢情報とかと関わるというわけです。

●子育てアプリー定期検診やイベント情報や…
絹: さあ、もう1つ行きましょうか。「子育てアプリ」を教えてください。
清: 「子育てアプリ」は様々な部署で子どもさんに関わる色んな情報、定期検診であるとか、お子様に関するイベントなど、それぞれバラバラで出されているのを、自分の住んでいる行政区でどういった事が行われているのかをまとめて知って頂くのに、非常に役に立つアプリではないかと思っております。
絹: これ、実は僕知らなかったんです。もう子育て世代からだいぶ歳を取っていますから。でもお母さん方には役に立つアプリかもしれませんね。
清: そうですね。「子育てアプリ」は、今そういった形で京都市としてアプリを提供させていただいているんですが、色んな情報については、これからこのオープンデータポータルサイトに載せていきますので、それを使って子育て以外の環境であるとか、交通であるとかにも使っていただけるようになるかと思っています。

●データは二次利用(複製、再配布、加工、編集等)も商用利用も可能です!
絹: 持ってきて頂いた資料に“京都市オープンデータポータルサイト「KYOTO OPEN DATA」開設!11月30日”とありますが、ぜひリスナーの皆さん、ここに一度アクセスしてみていただけませんでしょうか。
清: 実際に使うのも無料で、持っているデータもオープンデータということで、手軽に使っていただけるものです。
アクセスして問題があることもなく、何か取られるということもないので、お気軽に使っていただければと思います。ただ、使われる際には京都市の出典であるということを表記していただく必要があります。
絹: 要するに仁義だけ、出典を明記さえすれば、二次利用、複製、再配布、加工、編集大丈夫よ、と。それどころか商用利用も、ビジネスに使ってもらってもいいよと。太っ腹な感じです。
清: 逆に使わない方が損なのではと思いますので(笑)。
絹: 現在公開されているデータですけど、平成29年1月25日現在のものですけど、222件の情報が公開されているそうです。ファイル数では8,000弱。例えば観光データというところを見ますと、地下鉄時刻表、市バス時刻表、観光施設情報、それから位置データは避難所、AED設置場所、公共施設、また各種統計データは、人口動態調査。これから一般市民の方が「もっとこういうデータがオープンにならないの?」という希望も言っていいんですよね。

●オープンデータのコンシェルジュデスクとお考えいただければ
清: このポータルサイトにお問い合わせというところもつくっておりますので、そこに皆さんのご希望の点であるとか、こういう活用ならもっとできるよねというところも教えていただければと思っております。ポータルサイトにデータだけが載せてあるということではなくて、「このデータを使ってこんなことをしてみたよ」という活用事例であるとか、「このデータを使って、こんなアプリができました」というようなアプリ一覧も載せさせていただいております。
絹: いいですねえ。オープンデータに関するコンシェルジュデスク的なものだと思えばいいですかね。
清: そうですね。そこを見ていただいて、自分ならこんなことができるよね、というふうに思っていただくのが一番いいかなと思います。
絹: さて、時間もだいぶ押してまいりましたが、もう1つ2つオープンデータの導く近未来をイメージしていただきやすいエピソードを、行きましょうか。

■第三章 近未来を、ちょっと覗いてみましょう
  ●鯖江市のこころみーHana道場
絹: 鯖江市、これは福井県ですね。何かここはオープンデータシティと呼ばれているそうですね。
清: データシティ鯖江」ですね。
絹: この間のイベントに鯖江から来られた方がすごく面白いコメントをされていたんです。「鯖江市では3Dオープンデータを使ってリアルに鯖江市上空を、例えばドローンで飛び回るようなアプリケーションが、その気になれば3分でできる仕組みをつくっているよ」と。オープンデータ伝道師の福野泰介さんという36歳の方が熱く語っていらっしゃいましたよね。そういうデータを鯖江では他にもオープンにされていて、「市内には渡れる橋が420橋あるけれども、その中で一番年上の橋は何歳?」と聞くと、「91歳」と答えが出てくるそうですね。構造物の寿命が50~60年とすると、「うわ、すごい古い」というのが、一般の方にすごくイメージできますよね。それから防災活用できるように、消火栓の位置とか…。
そのオープンデータ伝道師の方から、「IchigoJam:イチゴジャム」というすごく安いパソコンを使って、子どもたちにプログラミング道場の「Hana道場」というのをやっていらっしゃるというのを聞いたんですが、その辺について少し…。
清: 「Hana道場」は私は存じ上げてないのですが、この「イチゴジャム」というのは、私がパソコンを始めて触ったのが、高校時代なんですが、その時は非常に高額なパソコンだったわけですけど、今、それと同じ性能のものが実は100円のCPUでできてしまうという(笑)、そういうものでございまして。
絹: とんでもない進化ですね。
清: コンピューターが安いので、どんどん安い物を使いましょうよという思想と、実際に昔にあったパソコンと同じようなスペックで、昔触っていた我々世代が、子どもたちに教えることもできるということで、新しい小学生とか、子どもさんたちに、別の世代が教えていくということで、地方創生で、取り組んでおられるとお聞きしております。

●プログラミングと子どもたちの成長と
絹: 「Hana道場」って、そのプログラミング道場では1日に1つのプログラムをつくるぞというような教育がなされていて、なんと小学校1年生でプログラミングにはまっている子どもたちが現れていると。そういうアプリケーションを使って、例えばイノシシ被害を里山で減らすために、檻を使った罠猟師さんの効率を上げるためのプログラムができたりしたそうです。去年17頭しか獲れなかったのが、今年は91頭獲れたよとか、どんな仕組みなんですかねえ。
清: そうですね(笑)。プログラムをつくっているのは、お子様であったり、色々な方々ですので、本当にいろんな発想、アイデアでつくられているかと思います。その色んな発想の元になるのがデータだと思うので、そういったものでつくっておられるかなと思います。
パソコンを触って、自分で何かつくって、何かを動かすことによって、「何かをやってみよう」というモチベーションにもつながって来るかと思いますので、子どもさんたちがそういう風に思われると、「じゃあ次、何か新しい事をやってみよう」「これで何か次、面白いことができないかな」とどんどん発想が膨れ上がっていくのではないかというふうに思っています。
絹: 2020年には小学校でもプログラミングの必修化が予定されている。少子化、あるいは超少子化社会日本の地方都市で今までと同じような生活、便利さを享受しようとすると無理が来るところがある。行政の能力にも予算にも限界がある。それを行政が持つ、民間が持つオープンデータの情報を加工する、それも一般の方と知恵を出し合って一緒に、老いも若きもアプリケーションをつくりだして、生活をサポートしあおうよという動きにかもしれません。ちょっと超躍しすぎですか(笑)。

●近未来はデータと共に動くことで変えられる
清: オープンデータというのがキーワードになっていますので、少し技術的なところがあるかと思うんですが、元々はオープンガバメントですとか、最近ではオープンガバナンスと言われています。
オープンガバメントというのは開かれた行政ということで、ICTを使ってどんどん行政の持つ情報などを市民の方に知って頂こうというものです。昨今ではオープンガバナンスと言って、そういったデータとか情報など、行政の持っている資産をどんどん活用しながら、市民の方も企業の方も地域活動とか、経済活動のなかで変わっていこうというような動きが出てきているのではないかと思っています。
絹: リスナーの皆さん、今日はオープンデータ、ロボット活用というところに本気で汗をかいて、工夫している京都市の総合企画局の清水さんにゲストとして語っていただきました。近未来は本当に我々がデータと共に動くことで変えられる。そんな気がします。その中ではやはり行政と民間の我々がいかに手を結ぶか、そんなところが大事になってくるのかもしれません。
いかがでしたでしょうか。リスナーの皆さん、ぜひオープンデータポータルサイトを覗いてみてください。清水さんたちの足跡が見えるかもしれません。
この番組は、心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、および京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りしました。
投稿日:2017/03/31

第127回 ・全国女子駅伝 走路整備の舞台裏~大雪と戦う裏方さんたち

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成29年2月放送分>

長: 長尾 由規夫氏(京都市建設局 西部土木事務所 所長)
名: 名越 正揮氏 (公成建設株式会社 土木G所長)
絹: 絹川 雅則  (公成建設株式会社)
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左 長尾氏 右 名越氏

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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た京都の元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、男性お二方をお呼びしております。お一方目はメインゲスト、京都市の西部土木事務所から。西部土木事務所って、皆さんご存知でしょうか。西部土木事務所の所長さんでいらっしゃいます長尾由規夫さんです。長尾さん、よろしくお願いします。
長: こんにちは。京都市建設局 西部土木事務所 所長の長尾でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
絹: はい、よろしくお願いします。そして、もう一方、長尾さんよりはちょっと若い、だいぶ若いか(笑)。37歳の、わが公成建設のエースの一人であります、名越正揮マネージャーです。
名: 公成建設 工事部土木グループの名越正揮です。よろしくお願いいたします。
絹: 少し前になりますが、皇后杯の第35回全国女子駅伝、覚えておられますか。
雪の中で、寒い中で、選手たちが雪まみれになって、走っている姿をテレビにかじりついて見ておられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。その舞台裏で「もう、イヤ…」という緊張感のなかで、そこを支えておられた影のプロデューサー、黒子さんたちを今日お呼びしました。駅伝を成立させるための準備段階がいったいどのようなものなのかというのを、西部土木の長尾所長と、その指示を受けて、実際に動き回っていた公成建設の名越さんとのお二方に語って頂きたいと思います。
 
■第一章 皇后杯 第35回全国女子駅伝、ご覧になりましたか?
●あれは大変な日でした
絹: お2人、大変ご苦労様でした。
両名:ありがとうございます。
絹: 私は暖かいところで(申し訳ないです)、テレビで駅伝の選手が走っていかれるのを見ていただけなんですけど、まずあの駅伝の前日から、大変でした。大雪警報が出たのは、あれは何時頃でしたかね。
長: 1月14日の4時16分に京都市内は大雪警報が発令されましたね。
絹: ねえ、警報が出てしまったんですよね。さあ、駅伝をやることは決まっている。もう選手も京都に大挙して入っておられる。できないようにならないか、心配しはったんとちゃいますか(笑)。
名: 正直、中止になるかとは思ってたんですけど。
絹: 中止になる、ならないの判断は誰がするんでした?
長: 事務局の京都新聞社の方でされると聞いていました。

●皇后杯 全国女子駅伝のコース
絹: 皇后杯の事務局というのは、京都新聞社主催ですか。陸連とかそういう方も関係されて、京都市さんとしては、会場の走路を提供するというか、万全に準備するということだったんですね。
まず一般常識から教えていただけますか。駅伝とか、マラソンとかやられる時、まず皇后杯女子駅伝のスタートはどこでしたか。
長: 西京極の総合運動場でございます。
絹: 西京極から宝ヶ池でしたっけ。これ、ラジオですので、地図を見せるわけにはいきませんので、ちょっと難しいかもしれませんが、駅伝のコースをリスナーの皆さんに思い出していただくために、どんなルートだったか、ちょっとご説明いただけますでしょうか。
長: 西京極スタジアムを12時30分にスタートして、国道9号を経て、西大路五条から北上いたしまして、ずっと右京区を…。
絹: 西京極スタジアムから出て、五条通、9号を東へ行きますと。そして西大路から左に曲がって北上、ずっと駆け上がっていくわけですね。これで一番上はどの辺でした?今出川まで行って、北野天満宮を通り抜けて…。
名: 金閣寺の方までですね。
長: そして船岡山の前を通過してですから。
絹: そしたら北大路まで北上するわけですね。
名: 堀川通まで行って、それから南へ下がっていますね。
絹: 斜めに上がっているのは、紫明通ですね。
長: そして烏丸通に当たって、烏丸通を南下して丸太町まで来て。
絹: 御所の南の端を東へ。そして次、北上していくのはどこですか。
長: 丸太町東大路ですね。東大路を北上し、また今出川に当たって、次は白川通まで出ていきます。
絹: 北白川の辺を国際会館まで行くと。
皆さん、イメージしていただけましたか。しゃべるのだけでも大変です(笑)。この駅伝の走路のうち、西部土木さんが分担される範囲はどこからどこまででしたか。
長: 大きく分けて二か所ございます。一つは西大路の五条から北野中学までの区間の西大路通を、まずメインで持ちます。そこから北部土木管内を経由して、御所の南側の丸太町通に入るとまた西部土木管内になります。
絹: リスナーの皆さん、ここで土木建設関係の一般常識あるあるでございます。
この駅伝の走路の整備のために出張られたのは、今日のゲストの長尾所長率いる西部土木、それから北部土木と左京土木事務所という、それぞれ3つの土木事務所です。京都市の出先の機関でございますが、我々のインフラ、道などを整備する役割をお持ちの役所の機関ですけれども、普段ほぼ黒子という形で、人知れず活動されているチームなんです。土木事務所の3つの北部、西部、それから東部が活躍されました。長尾さんの西部土木は五条通から北野中学までのエリアと、御所の前の丸太町通の区画を、それでも3分の1以上ありますよね。
長: そうですね。それくらいございますね。
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皇后杯コース地図 公式HP引用http://www.womens-ekiden.jp/course/map.html
 
■第二章 皇后杯 全国女子駅伝―前日
●駅伝スタート32時間14分前、大雪警報発令!
絹:  さあ、それでは時系列的に追っていきましょう。
スタート32時間14分前、えらい緊張感が漂ってまいりました(笑)。女子駅伝走路の舞台裏。
大雪警報が発令されてしまったのが、本番前日の1月14日なんと朝4時16分、スタート時間の32時間14分前、土木事務所に集合がかかっているんですね。
長: そうなんです。今、京都市の建設局では大雪警報が発令された場合には、関係のある土木事務所について、所長・次長の2名が速やかに参集するという形になっています。大雪警報が発令されたら同時に参集することで、市民、区民の皆さんの安全と安心を確保していきましょうというのが、趣旨でございます。

●警報発令だからこそ、管内パトロールも重要です
絹: リスナーの皆さん、役所なら土曜日は休みやと思っているでしょ。前線の役所の人たちは関係ないんですよ。所長と次長さん、長尾所長と堀田次長が土木事務所に土曜日の7時半、集まっておられます。そして国道162号の中川トンネル付近、これは所長ご自身が道路パトロールに出かけられたんですね。
長: 今回の雪の特徴としては、朝の4時16分に大雨警報が発令されて以降、積雪が確認されるまで、かなりの時間がございましたので、私と堀田次長とで1回目の道路パトロールを、お昼の2時40分くらいから、国道の162号を確認しに行った後に、日吉美山線の方も併せて確認に行った次第でございます。
絹: 名越さん、府道日吉美山線という言い方は一般の方はピンとこないかもしれませんね。
名: そうですね。路線名で言っても、なかなか伝わらないかもしれないですね。
絹: どの辺って、イメージしたらいいですかね。
名: 清滝トンネルがあるんですが、地域的に鳥居本という言い方をしたりもしますけど、平野屋さんという鮎の有名なお店があって、そこからスタートしまして、六丁峠を通りまして、JRの保津峡駅を経由して、水尾の集落を回りまして、その先が越畑という集落があります。
絹: いわゆる愛宕山の宕陰地区と言われているあたり、水尾の里、越畑、棚田のエリア、その辺まで。これ、駅伝コースよりもよっぽど長いですよね。この日吉美山線の方が。普段から分掌範囲と言いますか、守ってくださっているエリアなんですね。それと共に162号も五条通からどの辺までですか。
長: 中川トンネル(中川集落があるんですが)のあたりまでを西部土木が持っておりまして、そこからは北部土木、京北・左京山間部土木という3つの土木事務所が、国道162号を管理させていただいています。
絹: ですから、いくら女子駅伝皇后杯の前日だからと言っても、普段から守って下さっている京都日吉美山線、国道162号線の中川まで、宕陰まで、越畑まで、放っておいたらいいというものではないと。
長: もちろんそうです。
絹: ここのところ、皆さん覚えておいてくださいね。駅伝コースよりも長いし、広いんです。ありがとうございます。

●六丁峠でブリザードを確認!!
絹: それで所長がパトロールに出かけられて、「こら、いかん!」と思われたことがあったんですよね。
長: そうなんです。パトロールは2時45分にスタートして、国道162号の中川トンネルまで大きな混乱や積雪を確認できなかったのですが、もう一方の日吉美山の方に行く時に、六丁峠(平野屋さんからあがって間もなくのところ)でブリザードと言いますか、吹雪いている状況が確認しました。この時間帯でこういう状況になっているのであれば、明日の12時30分のスタートまで大変な積雪が予想されるであろうと、その時に確信しました。
絹: リスナーの皆さん、今、長尾所長はブリザードという言葉を使われました。南極ではなく京都市内ですよ。でもそういう峠道などに行くと、本当に吹雪いている。これは駅伝に多大な影響が出るだろうという見立てを立てられた。
そして、「さあ、準備をせなあかん、こら、やばい」というので、集合をかけられたわけですか。

●公成建設チームとのタッグのもとに
長: そうですね。日ごろ、土曜日・日曜日、夜間については、緊急業者の公成建設さんにお世話になっているんです。そこでチーフの名越さんと、この日の夜から次の日の朝までの対応について、綿密に打ち合わせがしたかったので、休日ではありましたが、事務所の方にお越しいただいて、対応を相談しました。もちろん金曜日までにも、「土曜日・日曜日の対応はこういう風にしようね」という調整はしていましたが、やはり緊迫度合いが、この段階でずいぶん違いましたので。
絹: 「これはちょっと冗談やないぞ」と、普段の体制でいけないかもしれないという危機感をお感じになったと。ですから名越さん、「西部土木に出ておいで」と呼び出しがかかったわけですね。
名: そうですね。
絹: 西部土木って、場所どこやったっけ。
名: 四条の天神川の南西あたりですね。
絹: これは一般の市民の方にはなじみの非常にない場所ですけど、我々には、あるいは名越マネージャーなんかは、よく通っている場所です。わが社、公成建設のように、土木事務所に緊急・休日時に対応する年間契約を結んでいる地元企業が複数あるんですね。そういう方が京都市さんの土木チームとタッグチームを組んで、いざという時には出られるように、普段から段取り打ち合わせを続けております。
さあ、普段と違う打ち合わせが始まりました。

●なんとしても雪を残さず、走ってもらおう!
長: そうですね。何より危機感を持っていたのは、日ごろの162号と日吉美山の体制だけでも、今回の大雪では大変だったところに、やはり皇后杯、35回の女子駅伝を安全にかつ円滑に走路を整備していくという大きな使命がございましたので。
絹: そうですよね。普段のプラスアルファで、しかもアスリートが走るわけだから、自動車が走れるような整備よりももっと雪をきちっと除けておかなければならないということですよね。
長: 本当にその通りで、車が走るわけではございませんので、それもアスリートの方が、それぞれの都道府県の期待を背負って走られるわけですから、安全には万全を期す必要がございます。
絹: スタッドレスタイヤなら少々雪がかぶっていても、走りますよね。普通の陸上のランニングシューズにはスパイクなんかついてないですよね。カーブなんか、結構なスピードで曲がり切らずにステンと転んでケガをされたらどうしようかって思われました?
長: もうそれが一番心配で、名越さんとも雪を残さないような形で、アスリートの方々が安心して走ってもらえるような走路をつくろうなというのは、打ち合わせで言っていたんです。

●ひたすら融雪剤を撒きつづけて
絹:  で、まず何をされたんですか。融雪剤というのを、撒かれたんですか。それも普段よりたくさん撒かなければならなかった?
名: そうですね。双ヶ岡の高架の下に山ほどある塩カルが全てなくなった状態でしたね。次の日には。
絹: 双ヶ岡の高架橋の下にそういうストックヤードがあるんですか。
名: 塩カルだけが置いてあるんです。
絹: 塩カルと言うと、正式には融雪剤。塩化カルシウムですね。白い色をした…。
名: 丸い粒状のものです。
絹: 誤解を恐れずに言うと、コーンフレークの白いやつ(笑)。ちょっと違うか。
名: その丸いやつという感じですか。
長: ちょっと違うかもしれませんが、粒状のものです。
絹: それがいつも何袋、そのストックヤードにあるんですか。
名: 600~700袋くらいは常時置いていまして。
絹: それ全部、撒き切った?
名: そうですね。数えているだけでも500は軽く撒いていますね。
絹: 融雪剤は手で撒くんですか?機械撒きですか?
長: 普段はマンパワーで、手で、スコップで撒いていたんですが。
絹: 我々の先輩方は、あれを撒くと腕がパンパンになるという逸話はよく聞きましたけど。
名: 顔もべとべとになりますので。今回はちょっとたまたま散布機をリースすることができましたので、それを使用して散布をさせてもらいました。
絹: 融雪剤の塩化カルシウムはよく効くものですか?
名: そうですね。ただずっと降り積もって来る雪に対しては、なかなかちょっと威力がないのかなと。アイスバーンになっている状態で撒くと、じわっと溶けていきますので。そういうのには効果的かなと。

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塩化カルシウム散布機械

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塩化カルシウム散布中の様子

 
■第三章 皇后杯 全国女子駅伝―当日!
●全国女子駅伝の開催を確認―午前7:10
絹: 双ヶ岡の高架橋のストックヤードの600~700袋を全部撒ききるくらいまで。さあ、撒ききれました。当日、1月15日の7時10分と、ここに記載がありますけれども、駅伝のスタートまで5時間半前、駅伝開催が確認と。予定通り12時半にやるぞという連絡が事務局からやってきました。またぞろここで緊迫感がやってくるという、緊迫の5時間前。走路パトロールに長尾所長以下は走られます。どうでした?この時は。
長: この時は3回目のパトロールに出ているわけですけど、スタート前5時間30分で、西大路通に積雪がまだ確認できていると。これについては、我々所長、次長は相当危機感を感じました。
絹: 間に合うんやろかと。
その時名越さんは?
名: まださらに雪も降っていましたので、ちょっとどうなるのかなというのはありましたね。

●融雪剤の散布が効いてきた、これはいける! ―午前10:20
絹: 所長がなんとかこれでいけるんとちゃうかと思いだされたのは、何時くらいですか?
長: 10時20分くらいですね。開始の2時間ちょい前に3回目の融雪剤の散布が効いてきて、ようやく走路に雪がなくなってきて、アスファルトの状態が確認できてきた頃です。
絹: アスファルトの黒い色が出てきたと。
長: というのが確認できてきた時に、私はうれしくて市役所の本部の方に、西部管内はいけるぞという報告をした記憶があります。
絹: それが2時間前。ただしそこでは終わらなかったんですね。まだもっと安全を期そうと、まださらに直前まで作業を続けられたと。

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西大路五条交差点付近


●さらなる安全のため、路肩の雪も除雪
長: そうなんです。走路として走って頂けるのは、ここで確信をしたんですが、より安全にアスリートの方々が雪でスリップしないようにと思ったので、路肩と言いまして、道路の端っこに残っている雪がずいぶんございまいした。融雪剤というのは、車道に撒くイメージがあるので、ここが今回一番苦労したところで、路肩の雪というのは、人海戦術しかないんです。車両はなかなかそこには入れないので、人が1つずつ取っていく、もしくはホイルローダーと言いまして、西部土木が持っているショベルカーですけれども、それをそこまで移送させて、除雪していくという選択を取りました。
⑱(修正版)
       ホイルローダーでの除雪作業の様子
絹: ホイルローダー直営班出動という命令をされました。役所の方も総出で、そして我々も名越チーム以下、出てくれていました。
駅伝のスタートが12時半、北行き路肩の除雪を完了して、それから南行き路肩の除雪を開始が、なんと30分前。そしてすべての除雪が完了して、撤収という時には、もう駅伝が始まってました(笑)。

●裏方気質というもの
絹: 皆さん、象徴的なエピソードを1つ、ご紹介したいんですが、名越の上司にあたる藪田土木部長が心配してテレビ放映を見ておりました。ところが彼は駅伝の選手の走られる姿は一切見ないで、足元だけじーっと見ていたと(笑)。「ああ、雪をきれいに除けてる」とそれだけ。ことほど左様に舞台裏を支える人たちというのは、そういう性質を持っておりまして、京都市の方々ももう大変ご苦労されて、土木事務所に出入りする我々、地元の建設関連企業も、名越さん睡眠時間削っているよね。
名: そうですね(笑)。
絹: 皆さん、今日はちょっと視点を変えまして、華やかな女子駅伝、もちろん駅伝の選手の方々、雪まみれになって、あれは帽子を被らないとやってられないくらい大変な雪の中を走られました。しかも京都チームが優勝!ねえ、けが人なかったですよね。何よりでしたね。
長: ただ今回、我々西部土木の所員、直営班に集合をかけた時に、エピソードが1つございまして、なかなかみんなが寝られない状態だったと。家にいても、いつ所長から電話がかかってくるか、ラインで参集を指示されるかで、もう4時、5時から起きて待っていたという、大変うれしい事を聞かされて、よかったなと思っています。
絹: リスナーの皆さん、実は物事には全てスポットライトの向こう側には、こういう準備を、段取りをする人たちがいる。特に行政の方々は当たり前のように、こういうことをなさいます。それが一般市民の方々にはなかなか見えづらい。そういう行政の方々と一緒に動くのが我々、地元の建設関連の会社であります。そういう者たちの頑張っている姿が、もし目に留まりましたら、「ご苦労さん」と一声かけてやっていただけるとありがたいと思います。
長: もう西部土木の職員は全員喜んで「ありがとうございます。」と言わせてもらいます。
絹: ということで、今日は女子駅伝の舞台裏、陰で支えてくださるプロデューサーたちのエピソードをご紹介させていただきました。
さあ、また京都で色んな行事があります。大文字駅伝、ございます。その時も裏方さんはがんばります。ご苦労様です。
長: 京都マラソンもございます。
絹: ということで、今日はしめさせていただきます。
この番組は、心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、および我らが京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りしました。ありがとうございました。
両名: ありがとうございました。
投稿日:2017/02/28

第126回 ・子ども食堂はマジックワード~出会いを生み出す子ども食堂

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成29年1月放送分>

杉: 大場 孝弘氏(公益財団法人 京都市ユースサービス協会
京都市山科青少年活動センター 所長)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)

 

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大場氏
京都市山科青少年活動センターホームページ http://ys-kyoto.org/yamashina/
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た京都の元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲストです。お一方、大変熱い方で、先日、人を介してお会いした時に、意気投合してしまった方です。公益財団法人京都市ユースサービス協会 京都市山科青少年活動センター(愛称:やませい)の所長をなさっています大場孝弘さんです。よろしくお願いします。
大: よろしくお願いします。
絹: そして本日のテーマ、タイトルですが、「子ども食堂はマジックワード~出会いを生み出す子ども食堂(やませいの挑戦あるいは悪だくみ)」(笑)と題して、本日の番組を進めさせていただきます。

■第一章 子ども食堂とは
●山科青少年活動センターって、何をするところ?
絹: 大場さん、子ども食堂、タイトルにもございましたが、マジックワードだそうですね。
大: たぶん今年に入ってから、『子ども食堂』という言葉を聞かれる機会が、すごく増えていると思うんです。それだけではなくて、「『子ども食堂』のことを考えましょう」というお声を掛けると、毎月毎月色んな方からお問い合わせを受けます。私どもで宣伝をしたりするんですが、これだけ色んな方から次から次へと多種多様な方がお見えになるというのは、ちょっと珍しい事だなと思っています。そういう意味でも突然のブームのように、今『子ども食堂』が注目されていると感じています。
絹: そもそも『子ども食堂』とは、というところに入る前に『山科青少年活動センター』って、「オレ行ったことねえよ」という人に、短くどんなことをなさっているところか、教えていただけますでしょうか。
大: 名前が長いので、いつもは、特に利用されている青少年の方は『やませい』とおっしゃるのですが、私どもの施設は、京都市が施設を建てまして、今は13歳、つまり中学生年代から30歳までの方を主な対象とした青少年の余暇施設としてあります。それ以外にも一般の方がお使いになったり、色んな事をされますが…。
絹: 13歳から30歳と、限られているでしょ。だから堅苦しくて、閑古鳥が鳴いていて、ひょっとしたら施設としてはあくびをしている所かなという、私の勝手な思い込みがあったんですけど、この間おじゃましたら、ぎょうさん人がいたはりましたね。
大: そうですね。延べ数で言いますと、年間で6万人くらいの方がご利用になりますね。こういう風な活動センターは、京都市内に7か所あるのですが、山科は特にご利用の方の9割くらいが、山科醍醐地域の方というかなり特徴的な施設でもあります。
絹: 地域性が強いと。しかも外環状線、地下鉄東野駅から歩いて5分くらいですか。
大: 10分弱ですね。西友のちょっと西の方になるというふうに見ていただいた方がわかりやすいかもしれません。
絹: 渋谷街道よりもちょっと南ですね。そこで色んな方が6万人も集われる『やませい』、『山科青少年活動センター』ですけれども、『子ども食堂』をなにやら、作戦を立てて動かしていらっしゃるという噂を聞きつけて、私は取材に参りました。
『やませい』で起こっております『子ども食堂』について、リスナーの方に教えていただけないでしょうか。

●子ども食堂のそもそも
大: 『子ども食堂』というのは、2年くらい前から全国に広がり始めていますが、もともと東京で始められました。その名付け親の方は、「子どもが一人でも来られる食堂」、つまり子どものための食堂というわけではなくて、そこには色んな世代の方がいらっしゃるなかで、お子さんがいらっしゃってもいいけれども、という形で始まっているのが『子ども食堂』なんです。
一方で、私たちの施設では、もともと中学生、高校生、大学生年代の若い方たちが結構ご利用になります。そういう皆さんと色々お話をしていると、食事など、色んなところで結構困った事を抱えていらっしゃるお子さんがいっぱいいらっしゃって、何か応援できることがないかなと考えていたところでした。特に食というのは大事な事なので、それをできるようにということで、中でカフェみたいな形で、晩御飯にはならないけれども、ちょっとおなかの足しにはなるようなことをやりましょうかということでやってきた経過があります。
絹: 『やませい』は良い設備をお持ちですね。イメージしていただきやすいのは、昔、小学校や中学校で家庭科の授業をやった調理実習室、あんな感じの良いのをお持ちなんですね。
大: もともとは勤労青少年のための余暇施設という形で始まっていたので、その時に講習会として、料理教室を結構頻繁にやっていた関係で、あの施設が残っていました。そのままだとちょっと広すぎるということもあって、その一部をカフェのカウンターに改装して、カフェとしても使えるようにさせていただいています。
絹: 本当に興味をひかれた方は、ぜひ一度覗きに行っていただければと思います。居心地のいい場所、そして活気のある空気、テニスコートでは若い人たちがテニスに興じ、勉強会なども提供されているという空間です。そして最近私の周りでも『子ども食堂』というキーワードを時々聞きます。
例えばうちの会社は山科に独身寮があるんですけど、そこに最近着任してくれた寮監さんが面白い方で、服部さんと言いますが、なんでも大場所長のところにちょくちょく出入りしているそうですね。

●寮監さんと子ども食堂
大: はい。まちの中に一枚貼ったポスターをご覧になって、「ぜひ私も何かやってみたい」と飛び込んで来られて、初めは本当にびっくりしたんです。そこで何か自分で開きたいという方はよく来られるのですが、「こういう場所があるので、一緒に何かできないか」というお声を掛けていただいて、それがとてもびっくりしましたね。
絹: その一枚貼ってあったポスターというのは、どんなポスターですか?
大: 「山科で子ども食堂をやりますが、一緒に何かやりませんか」というお声掛けのポスターでした。
絹: 「作戦会議に行きませんか」のあのポスターですか?
大: そうです。
絹: うちの独身寮の寮監さんは、そういう非常に頭の柔らかい人で、「独身寮だから社員の若い子しか使っちゃいけないという常識を少し緩めてみませんか」と思っているようです。もちろん料理もうまいんですね。
実はここに『やませい』さんのホームページからダウンロードしてきたんですけど、
子ども食堂に関心のあるみなさんと作る食堂
ひとあし早いクリスマス食堂
12月19日月曜日、夜の6時から8時まで
料金は300円。
『やませい』でやります!来ませんかというものですが、これもちょっとお話しいただけませんか。
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大: 実はこのメニューは服部さんのご提案で、実際にチキンをうまく料理していただきました。その時、色んな方がお手伝いに来られるんですけど、レシピを公開されて、たぶんその方たちもおうちに帰ってクリスマスのチキンを作られたんじゃないかと思うんですけど(笑)。
今回はセンターをご利用になっている中高生の子達ががっつりと食べられるようにしたいということで、チキンをメインのプレートにして、それ以外にスープなど、色んなものも入れながら提供させてもらっているという形です。

●子ども食堂に寄せる思い
絹: リスナーの皆さん、『子ども食堂』って、何か堅苦しいイメージを持たれている方がいらっしゃるかもしれません。子どもの貧困という、ある種重たい話題、課題、キーワードではありますけれども、大場所長はそういう事を感じさせずに、どうやら『子ども食堂』へのハードルを下げようとしていらっしゃるようにも思えてまいりました。
大: 子どもの貧困という問題と一緒に『子ども食堂』が語られていて、そういう事に特化しながらやっておられる所もあるんですが、そういう所は無料で食事が提供される所が多いんです。でも私たちの所に来ているお子さんたちを見ていて感じるのですが、「タダで食べ物をあげるからおいで」と言われて、そこに行くのって、結構自分の中で躊躇があるだろうな、恥ずかしかったり、イヤだろうなと思えるところがある。それだったら色んな事をやりながら、ひょっとしたら安い料金だとか、何かその中でお手伝いをして、一緒に入れる方がいいのかなと思ったわけです。できれば簡単にいろんな人が入れる仕組みの中に、困った子もいてもいいなという感じの広がり方が、実は一番うれしいなと思っています。

●子ども食堂ネットワークをつくりたい
絹: 『子ども食堂』だけじゃなくていいよと。
それと『やませい』の大場所長の構想の中には、山科子ども食堂ネットワークというか、まず10か所つくれればいいなと。もう実例がいくつか生まれているそうですね。
大: どこか一か所が頑張って子どものために10日間食堂を開こうとすると、ものすごく大変なんです。それよりはちょっとそういう気持ちをお持ちの方同士が集まって、月に一回だけ、とにかく無理のない範囲でやりましょうという場所が、もし区内に10か所増えたら、それで「月に10回、子ども食堂がありますね」という形になる。そうなった方が、色んな人が関われるし、入りやすいし、皆さんの負担も少なくて、色んな人が関われる、そんな場所が広がった方がいいかなと思っています。そういうやってみたい方に私どもの方に来ていただいて、ちょっと経験を積んでいただいて、実験もしてもらって、輪を広げていただくみたいなことを、今願っています。
絹: その中の一人が、うちの独身寮の寮監さんの服部さんだったと。で、実は大場所長にアポを取ってもらうのに、服部さんに電話してもらったんですよね。
大: そうなんです(笑)。

●今まで会えなかった色んな人がやってくる!
絹: さあ、ではタイトルに戻ります。「子ども食堂はマジックワード~出会いを生み出す子ども食堂」。大場さんはこのように語られました。
『子ども食堂』ということを標榜すると、今まで会えなかった色んな人が『やませい』に寄って来られるんですと。
大: 本当にびっくりするんですけど、たぶんこれまであまり出会えないような方、それこそ服部さんもある意味ではそういう方ですけれども、「施設を提供しますよ」などと言ってこられる方はほどんど今まで出会ったことがないですし。
絹: 建設会社の独身寮って、昼間空いているので、食堂はあるし、厨房は当然ありますよと。食材もなんとかちょっとぐらいは余っている物がありますし。と言うのは、うちの会社の職員で家庭菜園をやっているやつもいるし、実家の宮津に帰れば、農薬のかかってない大根などの野菜や、「チヌ釣ってきました」と寮へ持って帰って来る人もいるし。ということを、服部さんはどうも思っていたみたいですね。
大: 実際に、山科の中で、例えば家庭菜園をされていて、今まで配っていた食材が余っているからというので、「使いませんか」とお声を掛けていただいたり、この前は肉屋さんが来られたり、つい最近は趣味で釣りをしている人が「魚がいっぱい釣れるから、それを使わへんか」と相談に来られたり、本当にいろんな方がどんどんお越しになる。
絹: そしたら魚の捌き、三枚おろし教室なんてのも出来るかもしれませんね。
大: そうすると「なくて困るな」と言うと、「私、知ってるよ。そういう人。」とか、「うちの誰かに頼むわ」と言って飛んできてくれたりと、色んな事がどんどんどんどん広がっていく。ちょっとこの広がり方は本当に不思議だなと思うくらいで。たぶん子どもというのと、食堂というのがくっついているというのは、すごいネーミングだなと、私は思います。
絹: だから大場さんはマジックワードだとおっしゃるんですね。
大: はい。この1年、半年くらいで、本当にたくさんの方とお出会いさせていただいたし、それだけではなく「自分も開きたい」とお声を掛けていただいたり、材料を提供したいということとか、色んな方がどんどんお見えになります。

●子ども食堂と地域の居場所
絹: 私が『子ども食堂』というキーワードに出会う前は、『まちの縁側』あるいは『地域の居場所』、『サードプレイス』という言葉を追いかけていた時期がありまして、コミュニティカフェだとか、コミュニティ食堂など、人には家庭と職場と、男でしたら飲み屋以外に羽を休める場所とか草鞋を脱ぐ場所が必要だという思いがあったんです。実は探してみたら、日本にはいっぱいそういう場所をつくっていらっしゃる方が『住み開き』と称して、それこそ週に1日だけは自分の居間を地域に開けましょうとやってらっしゃる。
「お茶とお漬物くらいしかないけれども、よければどなたさまも」とやってらっしゃるご婦人がおられたり、コミュニティガーデンとして、「庭をいい具合にできたから、見に来て!興が乗ったら、そこでバーベキューでもしようか」というようなおじいさんがおられたり…。そういう人たちの存在って、すごくありがたいなあと思って、訪ね歩いていた時期があります。
今回、大場所長の山科エリアでの子ども食堂のネットワーク構想、それはもう確実に居場所ですね。
大: そうですね。もともと青少年活動センターというのは、2000年くらいから若者の居場所を標榜し、どこにも所属しにくい、人との関わりが難しい困っている方たちの助けになればとやってきたところがあるので、どこかそこに繋がっているところはあるのかなと思いますね。

■第二章 地域通貨『べる』のこと
●誰かの役に立って、得る通貨
 絹: さあ、その大場構想、子ども食堂ネットワークの中に、他とは違うちょっとユニークなものを見つけました。山科地域だけで通用する地域通貨『べる』というものについて、ちょっとご説明をお願いします。
大: これは「食べる」とか「遊べる」とかの「べる」でして、『るるぶ』に近いのかもしれませんが(笑)、そんな形で前のスタッフがつけたんです。
元々はセンターの中で若い人たちが誰かの役に立ってお礼としてもらうもの、そのクーポンを『べる』という形にしていて、そのクーポンをできれば地域の中で色んな場所で使えるようになるといいなという思いで始めているものです。
絹: 地域通貨というものを、ご存知のない方のために、念のために申し上げますと、『子ども銀行券』をイメージしてもらうと(誤解を生むかもしれませんが)、わかりやすいかもしれません。『肩たたき券』や『お手伝い券』のようなもので、『やませい』に出入りする元気な中高生が地域のお手伝いをする。例えば「蛍光灯を替えた」とか「庭の草引きをやった」としたら、例えば50べる、100べるとかいうのを、「ありがとう。これ、お金じゃないけどお礼だよ」と裏書きして、地域の高齢者とか大人からその子がもらう。それを持って『やませい』に帰って来ると、「それでカレーでも食うか」、あるいは「子ども食堂でご飯食べる?」あるいは「エスプレッソコーヒー飲んでいけよ」という仕組みなんですよね。
 大:  はい。ですから先ほど『子ども食堂』の話をした時にしていましたが、タダの所へ行くというのは、結構敷居が高いと思います。自分が誰かの役に立って、喜んでもらって、そこで得たもので自分で行くということがある方が、『子ども食堂』としても楽しいし、その子にとっても自信になるかな。それがうまくくっつくと、結構これは面白いんじゃないかなというふうに、今思っているんですけどね。

●困りごとを抱えた子が相談できる地域にしたい
 絹:  これはすごくユニークで、大事な事を思いつかれたな、すごい発想だなと感心して聞いたんですけど、ちょっと重たい話になりますが、やはり青少年を多くそばで見ていらっしゃった大場さんですから、色んな困りごとを抱えた子たちもいるよと。
この間お会いした時に、「ぎりぎり大変な状態にならないとSOSを出さない子たちがいる。だから周りの大人に困ったことがあったら相談できるような、そういう地域であるにはどうしたらいいか、その発想から『べる』に行きついた」とおっしゃっていましたね。
 大:  たぶんそれが子ども食堂ともつながっているんですが、どうしてもそういうしんどいお子さんたちは、周りに助けてくれる大人がいないという、しんどい面があるんです。人との関係がやはり薄い。そういう意味では、「親も含めて色んな大人が信じられない」と思っていることがいっぱいあって、そういう傷ついた体験をいっぱい持っているので、そうじゃない大人や先輩がいるよという体験をしてもらうには、出会ってもらう必要があるんです。
それには子ども食堂もいいですし、『べる』で何かやって、「ありがとう」と言ってもらって、何かを得る。それを持っていったら「ご苦労さんやね」と言ってもらえるような経験、つまり「自分を助けてくれる大人がいるんや」という経験を小さい時に積んでおいてもらったら、ちょっと小さなことで困った時に、「ちょっと困っているんやけど、相談に乗ってくれる」と行けるのではないか。それがたくさん重なっていくと、本当にとことん困る前に、早目に行って誰かに相談して、全部は解決しないけれども、少しは和らいだり、改善の道が見つかるみたいなことになるといいなと思っているんです。

●地域の中に、もっと人間浴できる場所をつくりましょう
 絹:  まさに精神的な耐性と言いますか、「柳に雪折れなし」みたいな腰の強い心根を、若いうちに育てられないか思ってらっしゃる。この仕組みを使って、子どもたちを地域の大人たちが見守る仕組みがつくれないかということを、発想されたようです。
これは『やませい』ワード、大場さんの造語だと思いますが、すごい言葉をこの間教えていただきましたね。
 大:  これは元々近くで一緒に活動されている人からお聞きした言葉なんです。「地域の中に、もっと人間浴できる場所をつくりましょう」というものです。森林浴よりも、今必要なのは人間浴かもしれないと。本当にいろんな関係の中に、その人がいるということが、どれだけ大切で幸せなことかということを、今ほど必要だと思うことはないので。
 絹:  海水浴ならぬ、森林浴ならぬ、人間を浴びると書いて、人間浴。いいですねえ。直接いきなり深い話はしないけれども、なんか顔を見て、「あのおっちゃんは料理得意や」と。「あのおっちゃんは釣りが得意や」と。「あのおばちゃんは家庭菜園やったはる」、「あのお姉さんは保母さんOB?」とかって、色んなタレントが周りにいて、それぞれが何かあったら、「おう、声を掛けろや」という、こっちを向いてくれている人が『やませい』の近所に…。「あれ、山科エリアでうろちょろしてたら、また会ったね」と道で挨拶できる。それだけでも違いますね。
 大:  本当にそういう人たちをたくさん知っていること、それこそお互いの名前を知っているとか、名前で呼ばれるという関係の中に、もうちょっといた方がいいかなと、今すごく思うところです。

●サポートする側も支えながら、支えられ…
絹: 大学生の話も教えていただきましたけれども、結構今の大学生、学生ローンを抱えちゃっているよと。
大: 「奨学金という名の学生ローン」と言われていますが…。
絹: 例えば立命館大学が100円食堂をやったりしていますが、そういう子たちと学生さんたちとは、全く通奏低音は一緒だなと。『やませい』のサポートスタッフ側で、大学生がいてくれたりとか、地域の方たちの手となったり足となったり、動いてくれたらすごく素敵ですよね。
大: たぶんそうやってサービスをする側でもあるし、子どもたちに対応しながら、子どもたちと遊びながら遊んでもらえるというか、そのこと自身もその人自身の役立ち感を持てるし、自信にもつながると思うので、本当にお互いさまでお互いを支える部分が結構あるなと思っています。

●コミュニティカフェで、大学で、注目される子ども食堂
絹: 大場さんに教えていただいた、今既に動き出している『子ども食堂』の例、例えば『おむすびの会』、それから『笑人(わろうど)カフェどんげね?』というのが、実際に動いていらっしゃったりして、徐々にこの大場構想は現実味を帯びてきております。
そしてこのチョビット推進室のゲストにも出てくださった『京都市未来まちづくり100人委員会』という、勝手連みたいな、「京都のためにほっといても汗をかくぜぇ」みたいな、変な人たちの集まりだったんですが、そういうOBたちが『山科GOGOカフェ』だとか、『左京朝カフェ』だとか、そういう区役所をキーステーションにして、色んな交流をしている場があります。そんな所にも大場さんは顔を出しているとおっしゃっていましたね。
大: ええ、そこで時々「子ども食堂、子ども食堂」と言っているので(笑)、結構そこで知って頂いて、後でご連絡いただく方もいらっしゃいます。
絹: 橘大学の准教授の小辻さんという方が理事長を務めておられるNPO法人があるのですが、そのNPO法人の主たる研究テーマは、京都にある居場所を調べ上げて、マッピングデータをつくるというもので、小辻さんはそれぞれインタビューして、行きたい人が行けるような、そういう活動をしてらっしゃる方です。実はその小辻准教授の結婚披露宴で、彼の上司にあたる教授たちが、僕の隣のテーブルに座られたんです。そこで「絹川さん、こんなん知ってる?」とゴソゴソと出してこられたフライヤーが、オレンジ色の子ども食堂の作戦会議みたいなやつだったんです。それをうちの寮監さんである服部さんに渡して、それがきっかけですので、橘大学も色々頑張っているみたいですね。
大: 本当に近い所でもあるので、今でも色んな形で、大学生の方も含めて関わりを持たせていただいているので、是非ともこれからも色んな形でお願いしたいですし、もうちょっとあの人たちが加わってやれるところがありそうな気がします。

●ネットワークをもっともっと広げたい
絹: はい、では年初の抱負と言いますか、平成29年は『やませい』の大場所長は『子ども食堂』がどんなふうになったらいいと思っておられますか?
大: 本当に山科の中に『子ども食堂』が色んな形でできること、そのために「私、やってみたい」とか、「手伝いたい」という方がいらしたら、一度お声を掛けていただけると有難いと思います。
絹: はい、『やませい』あるいは『子ども食堂』・山科という検索ワードで、必ず引っかかります。愛称『やませい』、京都市山科青少年活動センター所長の大場さんをお招きして、今日の特集「子ども食堂はマジックワード」と題してお送りいたしました。皆さま、ぜひ覗いていただけませんか。あるいはサポーターで何か差し入れていただけたらうれしいです。
大: ありがとうございます。お待ちしております。
絹: それではそろそろ終わりです。
この番組は、心を建てる公成建設の協力と、京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りしました。今日は大場さん、ありがとうございました。
大: ありがとうございました。
投稿日:2017/02/15

第125回 ・空き家に悩むすべての人へ ~地域住民たちが自ら作ったガイドブック「空き家の手帖」ってご存知ですか?~

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成28年12月17日放送>

菅: 菅谷 幸弘氏(六原自治連合会事務局長 六原まちづくり委員会委員長)
寺: 寺川 徹氏 (寺川徹建築研究所 六原まちづくり委員会)
杉: 杉崎 和久氏(法政大学教授)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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打合せ風景
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 左から杉崎氏、寺川氏、菅谷氏
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た京都の元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲストはお三方お呼びしております。まずはほぼ常連さんに近い法政大学の杉崎教授、この方は我らがまちセン、京都市景観まちづくりセンターの職員の時代に私と知り合いました。そして五条西洞院のわが社、公成建設のご近所さんでもあらせられます。よろしくお願いします。
杉: はい。よろしくお願いします。
絹: そしてお二方目、六原自治連合会の傘下に六原まちづくり委員会という、すごいメンツの委員会がありますけれども、そこの委員長さんをなさっています。菅谷幸弘さんです。
菅: はい、菅谷でございます。よろしくお願いします。
絹: よろしくお願いします。そしてその六原まちづくり委員会の委員さんで、ご本業は一級建築士さん、建築家です。寺川徹建築研究所さん、宇治で事務所を開いておられます。寺川徹さんです。
寺: 寺川です。どうぞよろしくお願いいたします。
絹: 今日の番組タイトルは、「空き家に悩むすべての人へ~地域住民たちが自ら作ったガイドブック『空き家の手帖』って、ご存知ですか?」と題してお送りします。この素晴らしいブックレットのご紹介と、その後についてインタビューしていきたいと思います。
いつものように、進行者が手を抜くために、他己紹介をさせていただきます。杉崎さん、菅谷委員長はどんな方ですか。短く述べよ。
杉: 何ていうか、「もう、どこまで先が見えているんだ」と思えるような、そういう視点でまちづくりに関わっていらっしゃいます。まちづくりというと、つい身近な事を考えがちですけど、先の先を常に見通して活動されているという印象があります。
絹: はい。それでは今度は菅谷委員長、寺川徹さんはどんな方ですか。
菅: はい、今は右腕以上の存在で、まちづくり委員会の中ではなくてはならない、そういう方です。
絹: ありがとうございます。それでは寺川さん、杉崎さんって、どんな人ですか。僕はよく知ってますけど(笑)。短くお願いします。
寺: まちづくりの事を上から目線ではなくて、草の根レベルで、ものすごく真摯に考えて活動される素敵な大学教授さんです。
絹: いやあ、いい切り口ですねえ。上から目線ではない先生。さすがです。はい、ありがとうございました。今日はこういうお三方でお送りいたします。しばらくお付き合いください。

■第一章 『空き家の手帖』
  ●そもそも『空き家の手帖』って、なんですか?
絹: なんでこういうものができたのか。すごい事だと思うのですが、ひょっとしたらまだご存知ないリスナーの方がおられると思いますので『空き家の手帖』って何ですか?というあたりから解説をしていただけませんでしょうか。
寺: 六原まちづくり委員会で、様々な空き家の対策を取ろうと委員会をやっているなかで、空き家の所有者の方がよく悩んでおられることに対する対処策をまとめました。
そもそもは、会議をしていて空き家対策の会議のメンバーに専門家が多くて、たくさんの知識は持っているわけです。そこで例えば空き家を貸したいけれども、貸したら返って来ないと思っている人が多いので、そういう誤解を解きたいということと、「空き家にしていても誰にも迷惑はかからないでしょ」という意見も空き家の所有者の方は持たれているんですが、本当は空き家を放置しておくことによって、そこに住める人を押し出しているような感じにもなって、人口減にはからずも加担しているというところもあるんです。そういう空き家を「取りあえず置いておくのではなくて、人に貸すなどして、人口減対策にも協力してください」ということを広めたいという思いで、作った冊子になります。
絹: リスナーの方々に想像力を働かせていただくために、ちょっとだけこの冊子の中から言葉を紹介させていただきます。ラジオは見えませんからね。行きますよ!
“空き家の放置は危険です。”
最初に崩れた、結構傷んだ空き家の衝撃的な写真とともにこのキーワードが踊っています。
“気が付かないうちに柱や天井が腐ります。”
「わあ、天井が抜けているわ」という写真があります。
“手遅れになる前に活用しましょう。”
これが扉です。それからしばらく続いて、
“実は空き家は色んな使い方ができます。”
「あんまりお金をかけてないけど、ピカピカやないけど、居心地よさそうに改修したはるわ」という写真が、事例が続きます。
そして色々活用のノウハウ、それから「片付けが、空き家防止の第一歩」という第5章が続きます。実はこれ、学芸出版社から出る前に、私家版として出ていて、自費出版ですか?
菅: そうです。自費出版で3,000部を地域に配布させていただきました。皆さんに空き家がどういうものか、活用するにはどういう方法があるか、困った時に対処できる内容がその中に書かれているという冊子を作って、お配りしたわけです。
絹: 私家版のうちの1冊が、わが手元に来ていました。今回、ご案内いただいて、5章が増えているのに気が付いていませんでしたけど、いい感じにまた新しい本になりました。リスナーの皆さん、これ値打ちありますよ。
すみません、菅谷さん、補足をお願いします。
菅: 空き家をどれだけ流通させるかという取組みをずっとやっていたんですが、自走型で動き出してからは空き家がなかなか動かない壁にぶち当たっていまして、でも地域には将来空き家になる家(予備軍という位置づけにしているんですが)が多数見受けられる。それならば今現在の間に、空き家にならないために、予防的な活用などを住んでいる方にお示しすることで、空き家になることを少しでも減らしていけるんじゃないかということで、その本を活用していただけたら有難いと思っています。
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■第二章 私たちの活動のこと―自走式まちづくり
  ●片付けと空き家問題
絹: この『空き家の手帖』の巻末の方を見せていただきますと、六原まちづくり委員会さんが2014年以降にどんな活動をしていたのかという活動記録があります。これ全部読むと大変ですけれども、でもすごく地道にかっちりと取り組んでおられます。
一例を挙げさせていただきますと、学区内における空き家啓発活動と称しまして、住民向けの空き家問題セミナーを開催されております。愛称が『住まいの応援談』(フレーフレーの応援団じゃなくて、語り合うの「談」)で、2014年の3月、第1部は六原学区の防災まちづくりに関する大学院生の発表、第2部は『空き家の手帖』完成記念発表披露会、第3部は京都市の空き家条例の解説、それからタタタっと飛んで、これは味があるなと思ったのは、2016年の2月、第1部は和尚さんによる仏壇のたたみ方セミナー(笑)、一瞬笑いますけど、実は大変なことで、ここで見て僕は感心しました。やっぱり空き家の当主はこの辺を悩んではるんですよね。
菅: 当初、私たちも片付けというところを見落としていたんですけど、動かない理由にやはり物が片づけられないから、空き家を流通できないという問題が色んな所で見受けられて、やはり片づけをしていかないと流通に繋がらない。「その中に仏壇があるから、どうしようもできない」という話などもお聞きするなかで、じゃあ、仏壇のたたみ方みたいなものをと、地域におられるお寺の副住職にお願いして「仏壇をたたむというのはどういうことなのか」という話をしてもらって、地域の人に理解してもらおうと考えたわけです。
絹: 今、菅谷委員長が語られたのは、84ページ、「仏壇があるので家を貸したり売ったりできません。」という部分です。
“他の物を全部片づけたとして、仏壇どうするの。さすがに処分できひんやろ。”
“こっちの家に持ってきたらどう?”
というお母ちゃんの提案に対して、
“あんなでかい仏壇、この小っちゃい家のどこに置くつもりや”と。
そこで、和尚さんが、
“仏壇はね、お寺に預ける事も可能です。ご相談ください。”と。
むちゃくちゃ寄り添ってますよね。これは感心しました。
東山区は空き家率が確か高い…。

●「向こう三軒両隣」のうちの一軒以上は空き家という現実
菅: 22%くらいです。
絹: 京都女子大の井上えり子先生が、そういう調査を綿密にされていたのはいつ頃でしたかね。杉崎さん。国交省の何かでしたかね。
杉: 僕はその時京都にいないんです。ごめんなさい。
菅: 平成18年くらいからですね。その取り組みがあって、19年20年くらいに六原学区の中をくまなく調査されて、そのデータを地域の人にお伝えするというワークショップをしたりしました。
絹: たぶん、僕その頃のどれかの回で、東山区役所で開催された時に出席していて、井上えり子先生の存在や、こんな地道な調査がなされていることを知って、あの時覚えたのが空き家率22%というのはどういう数字かということでした。22%というのは「向こう三軒両隣」のうちの一軒以上は必ず空いている状態、と言われてびっくりしたんです。
空き家の対策と言いますか、今空いていて危険家屋を何とかしようというところから、防災まちづくりという視点から、たぶん六原の皆様はスタートされた。それを行政からのサポートだとか、専門家派遣という仕組みで、「一緒にやろうよ」という声がかかったんですね。

●防災と空き家対策
菅: 最初は空き家の流通が先でした。ただ、私たちの地域も密集市街地で細街路が非常に多い地域でして、防災の問題もそこには必ず横たわっています。空き家というのは一軒一軒の点なんですけど、やはり地域全体を面で見た時に、空き家と防災というのはすごくリンクしていて、一緒にやらないと意味がないみたいなところから防災が新たに加わって、今も活動を続けているという流れですね。

●空き家予防という考え方
絹: 皆様の色んな地道な活動のなかで、初めは空き家の流通から発したことだけれども、「流通の事例を1つひとつ積み上げていくことよりも、予防をしないとあかんのとちゃう」と意識が変わってきたと、さっきおっしゃっていましたね。
寺: 六原学区の空き家の取り組みは、そもそもは行政事業としてスタートしているわけです。ただ行政事業というのは2年間の年限がありましたので、行政事業の後も取り組みを続けようとやっていくと、どうしても成果が出ないというところで、3年目でぶち当たっているわけです。
自走しだして1年目。空き家の取り組みを一年活動して、何軒流通させられたかだけで成果を問うていると、「自分たちでやっている限りは、結局やってもやりがいがない」というところで、何かあきらめのような部分も、実は出てきていました。そこで「考え方を変えませんか」ということを井上先生がおっしゃってくださって、「成果主義ではなくて、予防することも、5年10年の長期で見れば、空き家を減らすことに必ず繋がるので」ということで、1年1軒流通できなくても、もういいじゃないかということで、予防に振ったという感じですね。
絹: いやあ、井上えり子先生のそのコメント、泣かせますね。
菅: 肩の荷が下りましたね、その時。
絹: 先ほど、杉崎先生の他己紹介での「上から目線じゃない研究者」という言葉がありましたが、井上えり子先生にも共通するところかもしれませんね。
菅: 確かにそうですね。

●六原まちづくり委員会の立ち上げ
絹: 先ほどの事前打ち合わせの時に、「自走式まちづくり」という言葉を初めて教えていただきましたけれども、これはたぶん六原用語の1つかなと思いますけれども、これも井上先生が発せられた言葉を皆さんが取り上げられたんでしょうか。
菅: そもそも行政事業というのは、行政が予算を付けて行政マンが来られて、コンサルの方が来られるというような流れになってしまうのですが、終わると当然行政の方は来られませんよね。コンサルの方も当然来られません。それに付随する費用も出ません。それでピシャッと終わってしぼんでいくなんていうのは、もう多々あると思うんですけど。
絹: よくある、ありがちなパターンですよね。
菅: でもその空き家の問題というのは、これからもますます増えるということを考えると、せっかくこういう土壌ができているのに、これをうやむやにしてしまうのは、非常に忍びないなという思いもありましたので、何とか今の枠組みを継続してできないかということで、六原まちづくり委員会を立ち上げて、外部の方々にも協力をお願いして、今も来ていただいているというところです。

■第三章 六原という地域―高いコミュニティ力と今後の課題と
  ●積みあがってきた六原の土壌
絹: 「せっかくこういう土壌が出来上がっているのに」とおっしゃったところを、もう少しお願いできますか。専門家がたくさんいてくださる、それから井上先生に代表されるような調査が地道になされて、データが蓄積している。そのほかにございますか。
菅: 例えば空き家という1つの問題は、1年2年で解決できるような問題ではなくて、やっぱり地域にずっと横たわっていく問題なんです。その地域の人たちの意識の中に問題意識がないと、ますます増えていくだろう。そういう意味では、地域の方々に口やかましいくらいに色々訴えることが、予防に繋がっていくんだろうなとは考えているんです。
絹: 寺川さん、もうすでに六原地域では「手をかけよう」みたいな、あるいは「片付けするのを、1人で抱え込まなくても一緒にやらへん?」みたいな雰囲気が、浸透しつつあるという感じになっていますか。
寺: そうですね。やはりまちづくり活動なので、何かをして急にドーンということはないのですが、“徐々感”というのは感じています。例えば、そろそろこの空き家の所有者さんに話に行こうかなと思っていた物件があったのですが、気づいたら流通に自ら持っていかれていたケースなどもあります。
本当は僕たちが何も活動しなくてもいいのがゴールですから、自分たちで手柄を取りたいのではなくて、自分たちがいなくても勝手に動くようになるというのを目指しているので、そういう意味ではゆっくりとした意識の変化は感じられたりはします。
絹: ひょっとしたら六原まちづくり委員会さんが仕掛けた漢方薬が、じわじわと効いているのかもしれませんね。
杉: そうですね。あと1つ思うのは、さっき調査という話がありましたね。調査も専門家や中心の人たちだけではなくて、既存の町内会の人たちも割り当てみたいなのがあって、みんなが参加して、現状を調べるという仕組みをつくられているんです。ですから各地域には交代しながら毎年1人ずつ、この空き家の取り組みに関わる人が出てくるわけです。そうするとその人が所有者さんだったりすると、それがきっかけになるという仕組みにもなっているんです。

●「コミュニティ力がすごい」と評価いただきます
絹: そういうことをお聞きしますと、この六原自治連合会と言いますか、六原のエリア、かなりコミュニティとしては成熟度が高いところではないですか。
菅: 私はその地域にしか住んでないので、他の地域と比較できないんですけど、外部から来られた方が口をそろえておっしゃっていただくのが、「コミュニティ力がすごいな」という風な評価はいただきます。
絹: ひょっとしたら他地区、他エリア、他都市から「ちょっとおじゃまします。お話聞かせてください」みたいなことがあるんじゃないですか。
菅: 今年だけで視察、何件受けましたっけ?
寺: 6~7件でしょうか。
絹: 確かそれ、『空き家の手帖』のどこかお尻の方に記載があったように記憶しています。あ、2015年度6件で約120人視察受け入れ。2016年度は8月時点までですけど3件で45人お客さんが来てはりますと。すごいですね。
ご存知ない方にお伝えしたいんですけど、わが京都の東山区六原というエリアは面白い動きが静かに進行しています。そしてこの動きは、たぶん同様の困りごとを抱えておられて、解決策に行き詰っていらっしゃる方、例えば私です(笑)。一筋の光明をいただいた気分でおります。

●同じ困りごとを抱えた人たちへ
絹: 全く個人的なプライベートな話ですけど、私の母が上京区で住まいしております木造の二階家がございます。父が母のためにつくった家ですけど、昭和40年代の竣工です。最盛期は6人で一緒に暮らしておりました。父が死に、息子たちが独立し、母は一人暮らし、80数歳、片付きません。外から見ると瀟洒な一軒家、ええ感じに見えないことはない。でも内側はゴミ屋敷度が着実に進行しているという状態で、ものすごく悩ましい。空き家予備軍という用語があるかどうかは存じ上げませんが、確実にわが実家は空き家予備軍であります。
京都市の空き家担当部署の方に「京都市の空き家条例は素晴らしいですけど、本当は空き家予備軍対策も、ひょっとしたら福祉の関係の力も得て必要ではないでしょうか」と、こういう番組を通じたり、役所で議論したりしたことがあります。だから私にとってこの『空き家の手帖 私家版』とそれから今度の学芸出版社版とは、本当にうれしい文献なんです。本当にありがとうございます。
片付けが空き家予防の大きなファクターと言うか、大黒柱の1つかもしれないという書き方をしてくださっていますでしょ。今、そういうことをはっきり言語化していただいたことが、まずはうれしかったということと、今この『空き家の手帖』が出版されて、地域でどんなことが動こうとしていますか。今後の課題も含めて、何か皆さん一言ずつありましたら。これからの六原、あるいはこれからの空き家予防、あるいは先ほど寺川さんがおっしゃったようなポジティブな事例など、他にありますでしょうか。

●六原でも民泊が増えてきました…
菅: 今の大きな課題は、私たちの地域に小中一貫校が統廃合で地域にできたんです。東山開睛館と言うんですが、私たちの地元にあります。
絹: なぜかわが社が施工担当したという(笑)、偶然もあります。
菅: お世話になりました。
私たちの思いは、そこに集う子育て世代の人たちに本来入ってきていただいて、空き家の活用ができれば、非常にいいなと。そうすると今の若年層の人口増加につながり、地域に活気が出てくる。そういうつもりのまちづくりをしているんですけど、今は観光で民泊施設が非常に多くできつつあって、そういうところに根こそぎ刈り取られていっている。
絹: ちょっと心配…。
菅: 大いに心配ですね。例えば不動産価値が急激に上がったりして、流通に回ると今までの1.5倍とかの高値になってきていて、本来来てほしい人たちが手出しができないような金額になったりしているんです。
絹: それは気がかりですね。民泊需要と言いますか、観光客受け入れのお皿が必要なことはわかりますけど、でも若年の方たちが来てくださることの方も忘れてはならないというか、そういう意味では京都府が仕掛けておられる次世代型下宿ソリデール事業というのを、注目なさっていますか?

●次世代型下宿事業「京都ソリデール」
菅: この間、私たちのまちづくり委員会に関わって頂いている不動産のコンサルティング協会の方から、その情報をいただきまして、一軒にその情報をお届けしようというところです。
絹: この番組のハードリスナーの方でしたら覚えていらっしゃるかもしれません。アクティブシニアという言い方はあまりよくないかもしれませんが、元気な高齢者で単身あるいはご夫妻のところに若い人を下宿に送り込むという「京都ソリデール事業」(ソリデールはフランス語で連帯の意味)を京都府が立ち上げまして、add SPICEの岸本千佳さんが、その次世代型下宿事業を手掛けていらっしゃいます。この六原にもこういう人たちが来てくださるといいですね。
菅: そうですね。私たちも東京の方に、講演に行った時に、高齢者の住まいに若い人が住むという取組が、既に東京の方で展開されつつあって、それはいいヒントやなと資料を持ち帰った記憶はあるんです。
絹: 本当に我々に一筋の光明となる本を出版してくださってありがとうございます。
この番組は、心を建てる公成建設の協力と、われらが京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りしました。ありがとうございました。
一同: ありがとうございました。
投稿日:2016/12/28

第124回 ・次世代下宿「京都ソリデール」事業 ~アクティブシニアの皆様へご提案  大学生と同居・交流する古くて新しい住まい方~

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成28年10月22日放送>

椋: 椋平 芳智氏(京都府建設交通部住宅課副課長)
小: 小西 由紀氏(京都府建設交通部住宅課技師)
石: 石本 彩乃氏(京都府建設交通部住宅課主事)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た京都の元気なまちづくりびとのご紹介や、最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
 
■序章  はじめに
絹: さて、本日ゲストは、お三方来ていただいております。男性お一人、かなりゴツい体形の方です。それから女性、技師がお一人、主事がお一人です。
では、ご紹介します。京都府建設交通部住宅課、椋平芳智さんです。
椋: 椋平です。よろしくお願いします。
絹: それから小西由紀さん、技師さんの方ですね。
小: よろしくお願いします。
絹: さらに石本彩乃さん、主事さん。
石: よろしくお願いします。
絹: さっきもちょっと意地悪をしていたんですが(笑)、技術屋さんの小西さん、椋平芳智副課長の人となりを短く述べよ(笑)。
小: いつ寝ているのか、わからない人です。
絹: お、えらい動き回ってはるんですね。
小: うーん、ずうぅっと職場にいます(笑)。
絹: いや、わかる気がします。綿密な資料を作っていただきました(笑)。
石本さん、小西由紀さんはどんな人ですか。
石: つっこみが冴えわたる、かわいらしい方です。
絹: ほう、つっこみが。じゃあ、あなたはボケの方?
石: いや、私は傍観者です(笑)。
絹: はい、では順番で言うと椋平さん、傍観者の石本さんて、どんな人です(笑)?
椋: 観察力の鋭い、かわいい方です。

●京都府の新しい住宅施策が始まりました!
 絹: はい、ありがとうございます。この番組のリスナーの方ならよく聞く他己紹介をやっていただきました。ゲストの方の人となりの一端が透けて見えたらうれしいです。
さて、こんな形で始めさせていただきます。本日は大変うれしいゲストです。というのは、私自身の問題意識で悩んでいることを、京都府さんが乗り出してくださった。その新しい住宅施策、次世代下宿「京都ソリデール」について、ゲストの椋平さんと小西さん、石本さんに教えていただこうという企画であります。
今日、番組タイトルは椋平さんたちにつけていただきました。椋平さん、タイトルをまず発表をお願い致します。
椋: はい、「アクティブシニアの皆様へご提案  大学生と同居・交流する古くて新しい住まい方」。これをタイトルにさせていただきます。
絹: 長い!(笑)けど、アクティブシニアっていう言い方を、好まれない高齢者の方もおられますが、元気なお年寄り、要は介護が必要なレベルじゃない、まだまだ元気よと。そういう方に「大学生と一緒に住まへん?」ということの提案なんですね。
ではざっと事業内容要約からお願いします。
椋: はい、このタイトルをつけさせていただいた理由にもかかわってくるのですが、今日お話する「次世代下宿京都ソリデール」は、高齢者宅の空いているお部屋に、大学生が低廉な(安い)居住費負担で入居していただいて、そこで高齢者と大学生が朝晩のあいさつや、リビングでの会話などの交流のある生活をしていただこうとするものなのですが、この事業がご自宅に空き室があって、大学生と同居・交流する生活に関心のあるアクティブシニアの方がいらっしゃることがスタートとなるから、このタイトルとさせていただきました。
絹: はい、ありがとうございます。リスナーの皆さん、京都ソリデール、京都府の次世代下宿事業って、覚えてくださいね。これはひょっとしたらひょっとする、面白いです。
ソリデールって、なんか外国語っぽいサウンドですよね。何語ですか?
小: フランス語です!
絹: ということは、フランスと欧州で色々事例があるよということなんですね。
椋: はい、そうです。

■第一章 次世代下宿「京都ソリデール」事業とは?
   ●「京都ソリデール」はこんな事業です
 絹:  では、事業の内容についてご説明いただけますか?
椋: はい。まず高齢者の方ですが、例えばファミリー向けのキッチンや台所を備えておられて、お部屋が3室、4室とある住宅に、お一人とかご夫婦で暮らしておられると、現在使用されていない空き部屋があるのではないかと。例えば、以前は子ども部屋で使用しておられた部屋、または現在使用していない離れ、そして2階の部屋はほとんど使用していない方もいらっしゃるというふうにお聞きしております。
次に大学生ですが、1人暮らしをされている方は、ワンルームマンションなど、一人暮らし用の小さなキッチンやユニットバスで生活されていて、隣近所との交流や地域の活動に参加されていない方や、遠方の実家から2時間程度かけて通学されている方もいらっしゃるとお聞きしています。
そこでこの質の高い高齢者宅の空き室に、京都の大学生が低廉な居住費負担で入居していただいて、高齢者と大学生が、朝晩のあいさつやリビングでの会話などの交流のある生活や、そして時には高齢者といっしょに地域の活動に参加してもらえたらという取組が、この次世代下宿「京都ソリデール」事業なんです。
絹: はい、ありがとうございます。ご存知のように、私の本業は地元の建設業者です。ですから建築のお仕事で、ワンルームマンションなんかのお仕事も請け負います。仕事でやる時は、「へい、おおきに」とさせていただくんですけど、やっぱりかつて経験した時は、ご近所で「あんまり…」「ちょっと反対」みたいな空気になることがあります。というのは、やっぱり今、ご説明があったように、ワンルームマンションのステレオタイプなイメージかもしれませんが、「近所と交流がない」とか、「顔が見えない」ということがあるからだと思われます。
椋: そういうことはお聞きしますね。
絹: 全てのワンルームマンションがそうだとは言いません。もちろんすごく頑張っていらっしゃる管理人さんとか、オーナーさんもおられまして、素敵なところもあるんですけど、こういう問題意識をなんとか解決したいというお気持ちがあるわけですよね。
椋: そうなんです。

●こんなことを目指しています
絹: さあ、さらなる事業目的について、詰めてもらいましょう。これ、よう考えたら「ソリデール事業」って、名前がついていて素敵なんですけど、懐かしい匂いがしますよね。
椋: その通りです。
絹: 昔は当たり前に、ワンルームマンションなんてない時代なら、こういう事がよくあって、まかない付き下宿、大学生が一緒にご飯を食べていたとか、ありそうですよね。
椋: そういう方が多くいらっしゃったとお聞きしています。
絹: 大学生がワンルームマンションより安く住めたらいいなというのと、うちのおふくろなんかもそうなんですけど、蛍光灯が替えられなくなってきたとか、高い所に脚立で上がって落ちて救急車で運んだとか、もし若い人が一緒に住めたら…というのはありますね。
椋: この事業の目的を説明するのを忘れていたのですが、まずこちらから質問をしたいんです。
ワンルームマンションに住んでおられて、朝夕の挨拶をする人もいなくて、隣に住んでいる人が誰かわからなくて、地域との交流もない生活を4年間された人と、同居する高齢者と日常の挨拶や会話をして、近隣の方とも顔見知りで、交流のある生活を4年間した人と、いずれも大学生ということで想定していただいて、どちらが京都に愛着がわく可能性が高いと思われますか。
絹: なんか、皆まで言うなみたいな感じですね(笑)。
それは当然、京都ファンと言いますか、ひょっとしたら逆にそういうのが嫌になってしまうかもしれませんけど、京都を好きになってくださる可能性は、絶対後者であって、ワンルームで交流なしに巣立つ人より、「じゃまくさいけど、年寄りの相手も近所とのつきあいもするぜ」みたいなタイプを、もし自分が就職の人事担当部長でしたら、間違いなく選びますね。
椋: ありがとうございます。今回の事業の狙いは、後者の近所の方とか、高齢者の方とか顔見知りになる生活をしていただいて、一方で高齢者の方の安心や安全につながったり、大学生の生活費負担の低減などの側面も持ちながら、京都のファン、大学生には京都に愛着を持ってほしいという狙いで今回の事業を進めております。
と言いますのも、ここ京都でも人口減少、そして少子化が問題になっています。合計特殊出生率という言葉がございますが、これが全国ワースト2位という状況が、ここ数年続いています。
絹: そんなにすごかったですか。
椋: そうなんです。東京に次いで、全国で2番目に、女性の方が生涯に産まれる子どもの数が少ないという状況になっておりまして。

●ちょっと余談ですが
絹: そういえばわが社でも、独身者比率が上がってきています。
椋: 晩婚化、そして出生数が低くなるという、色んな問題があるとお聞きしております。
絹: なんか話がずれてしまいそうですけど、今日は女性のゲストがお2人、京都府の技術者として、主事として来ておられます。京都府は職員の女性比率が高いですよね。地元の建設業界と合コンを仕掛けなあかんのかな(笑)。
変な話ですけど、実は切実な問題も含んでいまして、技術職の男性というのは、遠隔地へ行ったり、天候に左右されますので、長い時間現場で指揮をとらねばならないので、休みが少なくて、女性と出会う機会が本当に少ないんです。だからまた、番組が終わったら相談に乗ってやってください(笑)。すみません、話を戻します。
椋: あ、戻す前に、建設業協会でもドボジョと言うんでしょうか、土木を仕事とする女性の方を増やしていこうという取組をやっていらっしゃいますけど、京都の建築技師は最近多く採用されている傾向がありますので、ドボジョの方とか、うちの建築の女性の方とか…。
絹: この頃ね、ドボジョという言葉と、建築小町という言葉が出ているそうですね。うちの中でも建築系の技術屋さんで、6年生の女性が一人、3年生の女性が一人、ようやくテストケースで根付いてきてくれています。また、土木系の女性の技術者は、うちは残念ながらいないんですけど、たぶん行政の方から増えていくと思われますね。期待しております。すみません、元に戻りましょうか(笑)。

●先進事例―フランスでは
絹: この取組は、ソリデールという響きがフランス語っぽいねという話が出ていましたので、どこかに参考にされたフランスの事例、あるいは欧州の事例があるんですね。
椋: はい、おっしゃる通りです。同様の取組はヨーロッパで始まりまして、フランスではパリのボランティア団体、非営利団体で「パリソリデール」があるんですが、そういった団体などが取り組んでおられます。お年寄りが若者に自宅の一室を低家賃で提供する代わりに、若者はお年寄りの心の支えになるような同居について、マッチングを実施しておられて、国内では、東京や福井でNPO等が取り組みを開始しておられます。
絹: パリのソリデールですけど、この言葉を椋平さんに教えていただく前から、海外のアパートで空き室が出た時もそうですが、高齢者だけのアパートにせずに、異年齢の家族が隣り合うように、公営住宅などはされているということを、だいぶ昔に聞いたことがありますし、昨日たまたまYouTubeか何かで、コナンドイルのシャーロックホームズのドラマを見ていたんです。結構古い時代のドラマですけど、あの時代からイギリスでは下宿人は、結構おいででおられたみたいですね。老婦人で、ダンナが先に亡くなって、メイドさんと一緒に二人で住んでいて、ロッジングハウスと言うか下宿で、男性が屋根裏部屋に住んでいるとか、二階に住んでいるとかという脚本だったので、「あ、ソリデールって、結構古くから似たようなものって、あるんやな」と、昨日の晩、思っていました。
椋: ただ、フランスの方の取組を聞いておりますと、一応14年経過しているのですが、比較的古くからということではなくて、まだ十数年というような状況で、パリでは高齢者と若者のマッチングを年間300組以上、累計3,000組以上されている団体が2団体あり、フランスの地方都市でも5団体が同様の活動をしていらっしゃるとお聞きしています。
●先進事例―日本国内では
絹: こういうマッチングをする、言ってしまえばおせっかいな人たちは必要ですよね。で、日本に振り返ってみますと、いかがでしょうか。
椋: 国内の状況としては、東京の団体がこの取組を開始してから5年が経過しており、現在5団体がこの事業に取り組んでいますが、毎年1組とか2組のマッチングに留まっている状況だということです。
絹: じゃあ、意識してそういうマッチングをしようとなってからは、まだそんなに日が経っていないし、実例も積みあがっているわけではないんだよということですね。
椋: そうですね。マッチングの組数自体は、フランスのようには行っていない状況ですが、昨年度、東京と福井の状況を、現地でお話をお聞きしたんですが、実際に同居しておられる方々は、非常にうまく同居しておられて、交流もしておられる様子が伺えました。

■第二章 京都府ならではのシステムとは?
  ●リフォーム補助を受けることができます!
絹: それからこの仕組みの特徴として、信用のおける、例えば京都府さんのような人が仲立ちになるということと、公の助成を少しつけようということですが、リフォームでしたっけ?
椋: はい、補助です。
絹: それが一つの柱になっているようです。そこのところを少し、ご説明をお願いします。
椋: まず行政のかかわりについてですが、東京と福井の事例では、行政があまり主体的には関わっていない状況でして、京都ではマッチング団体さんと連携して取り組みながら、府のホームページや京都府から高齢者団体、京都府から大学を通じた情報発信というような形で、積極的に関わっていこうと考えております。リフォーム補助につきましては、担当の方からご説明させていただきたいと思います。
石: リフォーム補助の対象となる工事としましては、使われていなかったお部屋を大学生が入居できるように壁や床を張り替えるとか、大学生が使うお風呂やトイレをリフォームするとか、ドアに鍵をつけるなどして、セキュリティを向上させる工事や、高齢者と大学生が交流するリビングのリフォームの工事などが対象となっております。また、補助金は上限90万円となっております。ただし補助率が2分の1ですので、工事費が180万円までは高齢者の方にも同額ご負担いただく必要があります。
絹: こうやって公的な仕組みもちゃんと担保して、一般の方が、高齢者のご夫妻や、あるいはお一方が乗り出しやすい、京都府は背中をチョンと押すよという仕組みをつくってくださっているわけですね。

●こんなふうに取り組んでいます
絹: 次に京都府の中での取り組みの現状について、お話しいただけますか。
小: 今年度の最初の取組として、フランスの「パリソリデール」だったり、東京のNPOみたいに、高齢者と大学生を募集して、同居のマッチングをして、同居後のアフターケアを行っていただけるような事業者を公募し、業務を委託しています。
実際4つの事業者さんに委託しているんですが、まず絹川さんもご存知のシェアハウスの豊富な運営経験を持っておられる京都移住計画に所属しておられる岸本さんの事業所であるアッドスパイスさん。
絹: 岸本千佳さんには注目しているんですよ。若いけど。30歳くらいですものね。
小: そうですね。
もう一社が、毎年約200名の大学生を福井県の河和田という所や、京都府内の美山や与謝野という所に連れて行って、滞在して、地域活性の活動に取り組まれている株式会社応用芸術研究所さん。
絹: この方も興味があります。実はゲスト候補として狙っている方です。
小: それから、ほとんどの組合員さんが高齢者さんで、生活の文化的経済的向上を図るための取組を行っておられる京都高齢者生活協同組合くらしコープさん。
さらに、賃貸受託のトラブル対応として学生の相談やオーナーへの啓発や、オーナーから借り上げて学生へ賃貸する業務を行っているNPO法人フリーダムさん。
これらの個人事業者さん、株式会社さん、生活協同組合さん、NPO法人さんが、それぞれのネットワークやノウハウなどを活かした提案をいただき、京都府と連携して、高齢者や大学生へ事業のお知らせをしています。
絹: 今年度はまずこの4社の人と、モデルケースを、ということですね。あまり最初から欲張らずに、実験的にやろうぜという段階みたいですね。

●確実にニーズはある!
絹: では、高齢者の方や大学生の反応はどうですか。
小: 高齢者さんに関しては、事業者のお知り合いの高齢者さんや、京都SKYセンターというところ、あと各大学の同窓会さん、各県人会さんなどにご説明に行かせていただいております。さらに高齢者さんのサークル活動とか、地域でやっておられるような歌声喫茶なんかに、アクティブなシニアさんが集まっておられるので、そういった場でご説明させていただいています。
絹: 実際に、小西さん、行ったりするんですか?
小: 行っている所も、行ってない所もありますけど(笑)。
絹: いやあ、歌声喫茶に目をつけるところなんか、頭柔らかいわあ(笑)。
小: 先月には高齢者さんを対象とした説明会も開催させていただいたんですけど、確実にニーズはあるなというふうには感じています。実際、数名の方が事業者と相談を開始していまして、大学生向けのチラシの準備や、大学生との交流会・お茶会等、「実際にやってみたい」という高齢者さんのおうちで、こういったことをしようかなと進めているところです。
絹: 実際に手を挙げてくれている人がいるんですね。実は岸本さんから電話がかかってきまして、「絹川さん、受け入れのアクティブシニアの人、紹介して!」と。
椋: 直球ですね(笑)。
絹: 知り合いの方、2~3人、うまいこと行かなかったけれども、彼女、実際に視察して、交渉してくれました。でも、色んな方が手を挙げてくださって、良かったですね。
さあ、今年度目標は?
小: 今年度目標は10組です!これを目標に、京都府と事業者が連携して取り組んで、来年度にはさらに多くの方々にこの暮らし方が広がるよう取り組んでいきたいと思っています。

■第三章 ご質問にお答えします
  ●少しでも不安を取り除くために
絹: 事業概要の説明でだいぶ時間を取ってしまいました。いらんツッコミを入れるおっさんがいたせいで(笑)。25分も経ってしまいましたが、深めていきます!
例えば自分が学生を受け入れてもいいよとなった時に、不安に思うことがあるかもしれませんね。そんな時、どういうアドバイスをされているんですか。
椋: 知らない方と、他人と同居するということは、どなたでも不安があるだろうと考えております。その不安を解消するために、実際のマッチングまでの間に、直接お会いいただいたり、同居するルールを話し合っていただいたりということで、面会して、お会いいただいて、お話するという機会を設けて、取り組もうとしています。また、先ほど小西から説明がありましたように、事前にお茶会であるとか、交流会などの取組をしながら進めて行こうかなと。不安を少しでも取り除ければということも、心がけております。
絹: それから時間のすれ違いが起こる時の危険性を少しでも減らすために、部屋割りなどの条件もあげていらっしゃるようですね。
椋: そうです。プライバシーの部分もございますが、実際の大学生の方、高齢者の方では、生活の時間帯が異なりますので、例えば高齢者の方は早く就寝されて、夜遅くに大学生が帰って来られた時も、大学生の部屋に玄関から直接行けるような、そういう間取りが必要かなと考えております。
絹: 費用なんかにつきましては、家賃は無償のケースもあるけれども、一般のワンルームに住むよりもだいぶ安いというのを設定しようとされているんですね。
椋: そうです。この事業の取組として、家賃については無償か通常の家賃よりも安くということで、事業を考えております。

●「京都ソリデール」ぜひ検索してみてください!
絹: 短い時間でしたので、全ての情報を皆さんにお伝えすることは、少し難しいですけれども、ぜひ京都府のホームページ、あるいは京都府次世代下宿「京都ソリデール」事業を検索いただけたら幸いです。
実はこれは本当に応援したい事業です。私事ですが、80過ぎの母が実家に一人で住んでおります。もし私の母の家がこういう風にできれば安心だなと思うけれども、実は今までうちの中が片付かないとか、他人を入れるのが心配だとか、色んなハードルがあって、誰に相談したらいいか、わからなかったんです。皆さん、これをぜひ注目してくださいね。
この番組は、心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りしました。みなさん、ありがとうございました。
一同: ありがとうございました。
投稿日:2016/10/30
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